第9話コーヒーはブラックで?
ダンジョンの好きな階層へ、魔石を使い移動する
そこは隠し通路にある
カンザキは当たり前に入って行くし、
それを見てシアは、やはりと言う感じでついて行く
やはり、転移の魔石をお持ちですかと、心の中で思った
シアは予想通りだと確信する
ダンジョンの移動には時間がかかる、それは階層を下がれば下がるほどにだ。
最初は数十分、だが10階層を超える頃には1層あたり数時間を要していく
むろん、SSS級の冒険者であってもそのスピードだ
転移の魔石は必須とも言える
運良く手に入れた者は、深層への攻略と進むのだ。
カンザキに付いていき、転送陣のある部屋に入った
そして、行き先をボードに書く
シアはカンザキの書く数字を覗き見るが、カンザキが影になりはっきりとは見えない
88・・・・?
なるほど、88層!
あんな階層に仕入れに!シアは思い出す、かつて行った88層を。雑魚ですら死の危険を感じたとてつもない強敵の闊歩する、洞窟の様な場所
シアは知らない。
カンザキが描いた数字、それは
889層
そこは青空広がる平原。天高く、果ては見えない
大型のモンスターがおり、珍しく平穏な階層
だが、それは天敵がいないと言う事ではなく、あるモンスターが支配していると言うことにほかならない
シアは初めて、「神獣」クラスのモンスターと相対する事になるのだった
カンザキもまた、勘違いをしている
王族は強いと。自分と同じレベルにあると勘違いをしている。それゆえに、二人の常識がズレている
「はい?」
平原に降りたったシアは、予想が外れていた
てっきり洞窟内に降り立つと思っていたから
おかしいですわね、こんな、、場所有り得ないですわ
ダンジョンの100層までは、洞窟やブロックなど、主に人工物と言った雰囲気を多分に感じられる。セーフゾーンなどもあり、モンスターから逃れて休息を得られる場所すらある
ある意味、ダンジョン100層最下層説は正しい
101層からが、本当のダンジョンで100層までは練習層であるからだ
「さて、と」
ひとまず平静を取り戻したカンザキはテキパキとテントを建て始める
まあ、お姫様は強いという話だし大丈夫か
なにかあっても対応は出来るだろう、俺を起こしてくれてもいいし
ちょいと仮眠だけ取らせてもらおう
テントが出来上がると、軽く食事の用意をする
コーヒーとサンドイッチだ
ちなみにコーヒーは120層で手に入れた。*2話参照
そこで平原を見ながら、惚けているシアに声をかける
「シア、朝飯だぞ。食べるか?」
空を見上げてぼうっとしていた。ハッとしたシアは振り返り、
「は、はい、いただきます」
シアは用意された椅子に座り、手渡されたコーヒーを、少し口に含む。
とても良い匂い・・・
「に、苦いー」
この世界の飲み物は基本的に甘い。その甘さで育ったシアにはコーヒーの苦みはかなり辛かった。
「おっと、砂糖入れるか?」
カンザキは懐かしい味で、ブラックを好んで飲んでいたので何とも思ってなかったが
そういえばこの世界にコーヒーってないんだよなぁ
「は、はい・・・」
砂糖を受け取って入れてかき混ぜる。
すると
「お、美味しい・・・」
この飲み物は何でしょう・・・すごく、美味しい香ばしさがたまらない
砂糖を入れる前は苦いだけでしたのに
不思議な飲み物です。
「うまいか。気に入ってくれてよかったよ。こいつはコーヒーという飲み物だ」
カンザキはシアがおいしそうに飲むのを見て、なんだか嬉しくなった。
さて、っと。少しだけ仮眠させてもらおう。
ここいらは安全だしな。でも一応注意だけしとくか
「ちょっと、テントで寝させてもらうよ。ここらは安全だけど、モンスターには手を出すなよ。群れて反撃してくるからな」
ま、この時間ならまだ夜行性の危険なのはいないから大丈夫だろうがと、そう付け加える
「はい、少しだけ探検しても大丈夫ですか?」
はじめての層、見たことのない景色で冒険者としてのシアが見たがっている
「ああ、あまり離れるなよ」
そういってカンザキはテントに入り、寝てしまった
さすがにキツイ。眠い…
シアは装備を整えると、やや向こうに見える大木のある丘へ向かう。
丘に登るとそこには・・・
広く大きな穴。穴の下には木々が生い茂り、鳥が飛んでいる
ここは・・・本当にダンジョンなの?
今までの常識では考えられないことである
地下は閉塞的で暗い空間であるはずだ
ところどころに光るコケや、松明があったり、ダンジョン特有の光る天井とブロックで明かりがあったりしたのに。ここはまるで地上、それも見たことがない場所だった。
カンザキさまが起きたら聞いてみよう・・・
シアはその草原に寝転がり、空を見上げた
気持ちいい・・・
シアも疲れていたのか木の下で寝転がりそのまま寝入ってしまったのだった。
「シア、シア、起きろ」
ばっと勢いよく起き上がり、あたりを見回す。
日は暮れ始めてあたりをオレンジ色に染めていた。
すっかり寝てしまっていたようだった
実は昨夜、シアも寝れなかった。嬉しさのあまりテンションが上がっていたのだ。そして店での労働も苦になってなかったが、疲労はたまっていたのだ
「す、すみません。寝てしまっていました」
「いや、構わないさ。俺も寝ていたんだ。」
夕日のおかげで赤くなった顔はごまかせただろうか。そう考えて、夕日!?
「カンザキさま、ここはどこなんですか?夕日とか、太陽があるのでしょうか?ダンジョンの中ではないのですか?」
思い切って聞いてみる
「ここもダンジョンの中だよ。しらないのか?101層以降だとどういう原理か知らないが、ちゃんと朝もあれば夜もあるんだ」
「ひゃ、101層以降ですか・・・ということはここは何層になるんですか?」
思い違いをしていた。てっきり100層以下だとばかり・・・でもそれだと、冒険者の夢・・100層に到達している。
「ああ、ここは889層だな」
カンザキはこともなげに言う。
「は・・・・っぴゃく?」
聞き間違いであってほしい・・・じゃなければ私達は・・・
「889層だ」
やはり聞き間違いなどではなかった・・
シアは簡単に考えていたのだ
カンザキの力を
その思い違いを正す
私の力など、到底及ばない階層にきてしまったと。
カンザキの手伝いができるなど、己惚れていた
ここはシアにとって未知の世界だった
すでにカンザキは準備を終えている
シアも遅れまいと、準備を済ませた
そこからカンザキに正直に話す。自分の最高到達階層を
ずいぶん驚かれたが、そうかと私に腕輪やらピアスやらをくれる。それらを身に着けると、シアのステータスは一気に向上する
体が軽くなる。そして魔力も増大する。慣れない感覚に一瞬、万能感に襲われるが、思い直す
これでもまだ、足りないのかもしれないと
どう考えても・・・伝説級のアイテムよね、これ・・・・どこで手に入れた・・ってダンジョンでよね。きっと。
その装備はカンザキにとっても、レアな部類に入る。
シアの話を聞いて予想以上に、力不足だと思ったから危険がないように最高峰のアイテムを渡した
そして準備ができた二人は進む
暗くなりつつある草原の奥へと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます