第2章~異世界でも童貞確定した俺が面倒臭い女の子と出会うまでのお話~
第9話 いきなりレ〇プ
「きゃあああああああ!」
女の子の悲鳴で目を覚ました俺は鬱蒼とした森の中に横たわっていた。
……くっ。
慌てて上体を起こしてみるものの、腹パンされたところがリアルに痛い。改めて、あのおっさんへの怒りが沸々と込み上げてきた。
ふらつきながらも何とか立ち上がり、物陰に身を潜めて辺りを窺ってみる。すると、さっきの悲鳴の主とみられる女の子が数人の男たちに囲まれているのが見えた。
女の子は着衣が乱れて半裸に近い格好で、今まさに凌辱されようとしている。
えっ、これってガチなレ○プ現場じゃね!?
おいおいおい! 異世界に転生させられていきなりこんなハードな場面に遭遇かよ!
「触るな! 汚らわしいっ!」
女の子の長く伸びた金色の髪はかき乱れ碧い瞳には恐怖の色が浮かんでいるが、大きな声を発して必死に強がって見せていた。
「ぐへへ。ねーちゃんの方からいきなり斬りつけてきたんだから、これって正当防衛だよな」
「そうそう。俺なんか家宝の鎧に傷を付けられちまったわー。ねーちゃん、どうしてくれんの、これ?」
「ひっひっひ。そのエロ~い身体で払ってもらったらいんじゃね?」
男どもはみなガタイがよく、似たような兜や鎧、帷子などを着込んでいるところを見ると、冒険者というよりどこかの兵士のようでもある。
「くっ……、辱めは受けぬ。ひと思いに殺せ!」
おぉ、これがあの有名な『くっころ』ってやつなのか!?
そんなセリフ、リアルで初めて聞いたわ。って、感心してる場合じゃないな。
女の子は押し倒されてリーダー格とみられる男がそこへ覆いかぶさった。このままだと本当にヤられてしまうかもしれない。
けれど助けようにも相手は屈強な男三人で、しかも武器を持っている。
――どうする、俺。
辺りを見回すと、丁度おあつらえ向きな木刀ほどの長さの木の棒が落ちていた。これで戦えってか。こういうところだけは無駄に用意がいいんだな。
そしてじつは俺、こう見えて小中学生の頃は剣道をやっていたから腕には多少の覚えがあるんだよね。初段だけど。
その木の棒を拾って何度か素振りをしてみると、これがまたじつにしっくりと手に馴染みやがる。
俺はこの木の棒を《伝説の剣》と名付けた。まぁ、こういうのは気持ちが大事だからな。
よし、これならいけるか!
と思ったものの、いざ飛び出して行こうとすると手足が震えて動かない。
「おい、お前ら、しっかり押さえとけよ! 入らねえじゃねぇか!」
「ひっひっひ。つか、まだふにゃふにゃじゃん!」
「ぐへへ、ちゃっちゃと終わらせろよ。次は俺の番だからな」
女の子を押さえつけている男らは下衆な笑い声を上げ、覆いかぶさっている男がもぞもぞと動き始めた。
「い、いやあああああああああ!」
ま、まずい。もう躊躇ってる場合じゃない!
えぇい、くそっ!
「うおおおおおおおおおおおおおおお!」
俺は身を潜めていた茂みから飛び出すと覆いかぶさっていた男へ駆け寄り、その後頭部目がけて力いっぱい伝説の剣を振り下ろした。
バキッ――!
会心の一撃!? と思ったのも束の間。男は兜を被っているため伝説の剣の方が見事に砕け散った。やっぱり木の棒は所詮ただの木の棒でした。
それでもかなりの衝撃だったのか、男は気を失って女の子の上にどさりと倒れ込んだ。
「あぁん?」
「んだ、テメェ!?」
女の子を押さえていた二人は素早く後ろに跳ね退くと、鞘から剣を引き抜いて身構えた。
ヤバいヤバいヤバいヤバい!
あれって本物の剣だよね? 斬られたらガチで死ぬよね??
しかもこっちは一人で丸腰だぞ。これってもう完全に詰みじゃん……。
「ん? こいつ、見慣れない格好してるがよく見たらまだガキじゃねーか」
「ガキだろうが何だろうが容赦しねぇ! なめたマネしやがって、ぶっ殺してやる!」
そう言って、殺気立った男の一人が剣を振りかぶって飛び掛かってきた。
な、何か武器になるもの、武器になるものはないのか!?
そうだ、これだ!
とっさに思いついたのと同時に俺はズボンのベルトを素早く抜き取ると、それをムチのように振るった。
すると、ベルトのバックル部分が男の顔面へ見事にヒット。男は両手で顔を覆いながら地面をのた打ち回った。
俺は男が落とした剣をすかさず拾い上げ、もう一人の男のもとへ素早く駆け寄る。そして面打ちと見せかけて剣を振り上げ、相手が防御の姿勢に移った隙を突いてくるりと手首を返す――。
「どぉおおおおおおおおお!」
男の胴を横一文字に薙ぎ払った。
「がはっ!」
男は白目を
――ふぅ。
どうにかこうにかピンチを脱することができたみたいだ。
ていうか、屈強な男三人を相手に一人で全員ぶちのめすって、何か俺すごくね?
これが異世界転生モノによくあるチートや主人公補正っていうやつなのか。
「くそっ! 覚えてやがれ!」
意識を取り戻した男どもはコッテコテな捨て台詞を残して退散していった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【あとがき】
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