第4話:ミッチーに終止符を

少し走ったところで、交番付近を通り過ぎようとした時、お巡りさんが交番から出てきた。


ウサギは、急に止まれず、お巡りさんにぶつかってウサギは尻餅を着いた。


「おっと、何だこれ、ウサギか?ううっん?血が出ている早く手当てしてあげないと」


そう言うと、逃げようとするウサギを優しく抱き抱えて交番の中に入った。ウサギは、最初暴れていたが、机の上で治療をしてもらっていると段々と大人しくなっていった。


「しかし困ったなぁ首輪が付けてないから飼い主が分からないな、うーん」


マリアは、キラキラ目を輝かせて、


(この人‥‥めっちゃタイプ! 格好いい)


そんな事には気にせず、お巡りさんが腕を組んで悩んでいると、ミッチーが走って交番に訪ねて来た。


「はぁはぁ、すっ、すみません!」


「はい、どうされましたか?」


「実はウサギを探してるのですが、こちらに来ておりませんか?」


「ああ、ウサギですね、先ほど怪我をしていたので、手当てをさせてもらいました」


ミッチーがウサギを見て笑顔になる。ウサギはまた震え出し、今度こそ殺されると思った。


しかしその時、ミッチーが来てからウサギが怯え始め、ウサギにあった複数の怪我からお巡りさんは疑問に思い、ミッチーに尋ねた。


「もしかして、ご自宅でウサギに虐待とかしてませんよね?」


図星だったのか、ミッチーは動揺して答える。


「し、知りません。それより早く返してください。」


不審に思ったのか、テーブルにある受話器を取って言った。


「念のために動物愛護保護局に電話を掛けさせてもらいますので、しばらくそこでお持ちください」


しかしミッチーは、このままだと二度とウサギと会えなくなると思い、ズボンの後ろポケットから小型ナイフを取り出し、電話に夢中のお巡りさん目掛け、


「だ、誰にも渡さねぇぇ!」


思いっきりブッ刺した。

お巡りさんは少し抵抗したが、その場に血を流し倒れ込んでしまった。


「フ、フフ、へへ ハッハハハ!!

これでウサギは僕のものだ! へへへぇ」


ウサギは急いで交番を出た。


「何処に逃げようとしてるのかなぁ。

逃がすわけないだろう!!」


そう言うと、警官のホルダーから銃を抜き取り、入り口を出ようとするウサギに向け発砲したがはずした。


ウサギは猛ダッシュで道沿いに走ったが、ミッチーはウサギに向けて何発も撃ってくる。


その時、一発の銃弾がウサギに当たり、ウサギはこけた。幸い掠れただけだったので、差程血は出てなかったが、手当てしてもらった傷が少し開いてしまった。


しばらく倒れていると、ミッチーが拳銃をこちらに構えながら近づいて来る。


「フフフ、鬼ごっこは終わりだ。今から君にトドメを刺してあげるからね」


(ヤバイ! 段々近づいて来る!このままだと殺られる。でも今動いても撃たれてしまうしどうすれば‥‥)


そう考えている時ミッチーの後ろから声がした。ミッチーが振り返ると警官が二人、銃をミッチーに構えていた。


「止まれ!警察だ! 今すぐその銃を捨てなさい」


ミッチーは警察の要求を無視しウサギに近づこうとする。その時、警察が発砲し、発砲音が辺りに響き渡る。


「もう一度言う。今すぐ止まり、銃を捨てなさい! 最後の警告だ!」


辺りの空気は少し冷ややかで、緊張が走った。ミッチーは止まることなくウサギに接近する。


(このままだとマジでヤバイ、うん?

これだ、これを使えば)


 ミッチーはウサギの前でようやく止まった。そして銃の撃鉄を下ろしウサギに狙いを合わせる。


「残念だがお別れだ、だけど大丈夫。君を撃って僕も死ぬからさ、そしてまた来世で会おう!」


ミッチーが銃のトリガーを引く瞬間、ウサギは自分の小さく丸い糞を銃のバレルにめがけて飛ばした。糞は銃口にきれいに入った。


ミッチーがトリガーを引いた瞬間ミッチーの持っていた銃が爆発した。


「何故だア!? そんな馬鹿な!! ぼぼ、僕の手がアァァ!」


ミッチーの手からは血が流れていた。そしてミッチーは、血が出た手をもう片方で押さえて、空を見上げて呆然と立ち尽くした。

ウサギは立ち上がり、前の道沿いに進んでいく。


(よ、よかった。本当に成功するとは‥ さて、これからどこにいこうかな、やっぱり森かな、それとも草原に行った方がいいかな?)


ウサギは、全てが終わり自分の更なる未来に進むため歩むのであった‥‥

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