そんな危ない道を行ったり来たりする私を、学校の仲間たちは避けたりしなかった。

ずっと友だちでいてくれる彼らが私の救いだ。



死にそうになっている私に、ある友人から言葉のプレゼントがきた。





『吐


ヘドロは溜まってゆく。

誰でもヘドロを持っている。

そんなの誰もが分かってる。

分かっていながら涙する。



言ってやる。




「今はあんたが1番辛いんだ」




「あたしが味方だ」 とか

「いつでも傍にいる」だとか。


私にはそんな言葉許されてないから。



ヘドロを抱えて言ってやる。

ヘドロを吐き出せ。

沢山吐き出せ。


また溜まったっていいから。



あたしが喉に手を突っ込んで

あんたを楽にしてやるから。


溜め込むな。

溜め込むほど強くはなるが

まだ強くなくていい。



無理に強くなろうとしなくていい。




私達は脆い。

死のうと思ったら簡単に死ねる。

あんたはいつでも死ねる。



生と死のグレーゾーンで生きながら、

死ねることをお守りにしていいのよ。』






私の仲間は、言った自分だけが満足するようなことを言わない。


死ねることをお守りに。


命を大切に、とかそんな綺麗事よりも生きてみようと思える言葉だと思う。死にたいと思う人みんなに教えてあげたくなるような。




それでも、どうしても孤独から抜け出せない私に、さらにこんなメッセージもきた。





『独りにしない


誰かのせいにしてもいい。

たまには八つ当たりしたっていい。



「みんな同じだ」



胸糞悪い言葉だから

無理に分かろうとしなくていい。

分かったふりして笑わなくていい。



君の人生だ。

今ここに立ってる、君の人生なんだから。



「大丈夫」





なんて言うな。

大丈夫なふりするな。



弱音をこぼして。


溜め込みすぎた

自己嫌悪をぶちまけろ。



ここにいる人達は

君を独りにしない。


1人になったら

仲間を頼れ。


彼らを頼れ。



光にはなれなくとも


暗闇で光を導く、


案内人みたいなモンにはなれるから。





忘れるな。



あたしや仲間を思い出せ。







あんたは独りじゃない。』







私の返事はこうだ。


_________________________________________


ずっと、安心したかった。 



心の隙間を埋めてくれるものを探していた。



誰も信じてはいけないと自分に言い聞かせてきた。




それでもやっぱり、人は温かい。


私が求めていたのは、私を心から愛してくれる人だったのかもしれない。




その人は今、私の目の前にいる。

もう私は独りではない。


孤独だなんて、もう思いたくない。



素直にあなたを頼りたい。信じたい。


ずっと愛していたい。愛されていたい。




人生はとても不思議だ。

でも、美しいとは思えなかった。


…あなたに愛されるまでは。




私はもう、独りじゃない。



暗闇に静かに差し込む光の先に、あなたがいる。





私はあなたと共に、希望の一歩を踏み出す。

_________________________________________



人間にとって友情は不可欠だ。

もしかしたら心を傷つけるのも癒すのも、人なのかもしれない。



言葉にできない感情ほど、

儚くて切なくて美しいものはない、と思う。





愛も同じだ。


愛してる、という言葉より、黙ったままそばで寄り添ってくれる方が安心できる。





想いが伝わる瞬間は美しい。


とても、とても美しい。感動とはこのことだ。




私は気づいた。


私が長いこと孤独を感じているのは、誰にも愛されていないからではなく、人からの愛を心から信じることができないからなのだ。



それに気づけたのは大人への一歩かもしれない。





…それでも、私の憂鬱が消えないのはなぜ。


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