不実の日々

9月分

9月1日

蔵から鳴き声がするが、開かずの間になって10年は経っている。

9月2日

白まんじゅうじゃなくてヨウムインさんだったわとおませさん。

9月3日

あの角にいる少年の首がどこまで曲がるのかを気にしている。

9月4日

犬がヨウムインさんを待ち続けている。

9月5日

いくら元神さまだからって毎晩神社で酒盛りというのはいかがなものか。

9月6日

そういえば星なんて長いこと見ていないな。

9月7日

鯨が結構な量の星を食ってしまったのだと聞かされる。

9月8日

食当たりだと海岸から帰ってきた叔父が言った。

9月9日

あの救急車のサイレンはいつ止むんだろうな。

9月10日

古本屋で買った本から変な汁が出る。

9月11日

ミイラになってたらしおりにしたのにな。

9月12日

ばあさんに似ているがばあさんではない。

9月13日

小人ってもっと慎ましく生きてると思ってたよ。

9月14日

畳からひょろりと曼珠沙華。

9月15日

そういや兄になるはずだったやつがいたんだったか。

9月16日

畳の下に先に生まれたはずの赤子が一つ。

9月17日

今度は左に向かってばかり犬が吠えてくる。

9月18日

ペンギンが引っ越しそばを持ってきた。

9月19日

金星銘菓を地球人が食べていいものか悩んでいる。

9月20日

姉の音を久々に聞いた。

9月21日

月の名物は団子もですけどカニですよ！と力説するウサギと話していた。

9月22日

猫の集会に強制参加させられる。

9月23日

狭い路地から「へいらっしゃい！」がエンドレスで聞こえる。

9月24日

増田君は食いしん坊だったのがいけないのよとおませさん。

9月25日

取ってこいと言ったのは骨ガムであって、本物の大腿骨じゃないよポチ。

9月26日

犬ってのは掘り返すのがとても得意らしい。

9月27日

どうも猫は埋める方だったらしい。

9月28日

ベランダに干からびた子どもが飛んできた。

9月29日

人間の出汁はあんまり美味しくない。

9月30日

ゴミに出せないから埋めたのに掘り返すんじゃない。