『伊勢物語』平安時代のプレイボーイ在原業平の華麗なる女性遍歴

『伊勢物語』は平安時代の歌物語。作者は不明。


『竹取物語』と並ぶ創成期の仮名文学だが、具体的にいつ作られたかは分かっていない。 


「むかし、男(ありけり)」で始まる文章で知られる。


 この男とは、平安時代初期に実在したプレイボーイ在原業平がモデルだろうと言われている。


 在原業平は、天皇の息子である父の阿保親王が大宰府に流されたせいで、天皇家の血筋を引く高貴な人間だが、臣籍降下して在原姓を名乗っている。


 容姿はとても美しく、漢文はできないが和歌は上手と言われていた。


『伊勢物語』には


・斎宮(伊勢神宮で神に仕える未婚の純潔の皇女)に手を出し、妊娠させる話


・天皇の后になる予定の女性と駆け落ちしたものの、女性が鬼に食べられる話(実際は女性は兄に連れ戻されただけ)


・母親思いの息子のお願いを断り切れずに老婆と恋愛する話


・人妻に手を出す話


・実の妹を他の男に渡したくなくなる話


 など、濃すぎる話が盛りだくさんで(古文のテストに出題されるところはつまらん話が多いが)、『源氏物語』にも影響を与えた作品と言われている。


 在原業平と言えば、百人一首の「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」の歌が有名である。


 私は、競技かるたの世界を描いた人気漫画『ちはやふる』が大好きなのだが、子どものころ、「ちはやふるって意味分かんないけど、とりあえず神の枕詞」ってずっと思っていた。


 この漫画に、「荒ぶる」がバランスの悪い不安定なぐらぐらな回転の独楽(こま)だとするなら、「千早振る」は高速回転するまっすぐな軸の独楽のよう。


 安定した世界で、前後左右上下どこにも偏りなく力が集中している状態のことだと説明していて、感動した。 

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