第11話
おりる。
もぐる。
ひそむ。
ときににげる。
たたかう。
とまどう。
のぼりもどりわなにはまる。
いろいろある。
ぜんぶ独りでなんとかする。
俺は、そうやって生きてきた。
将来のことは考えないようにした。
いつ死んでもおかしくない生き方だから、今日次の瞬間息が出来てれば御の字。
そういう風に考えて、生きていた。
独りで。
独りがよかった。
知らなければ、よかった。
地獄をみた。
ダンジョンの闇は人に幻覚をよく見せる。
よくある現象だ。
精神的なダメージを負わせるのだ。
肉体がいくら健全でも、精神が蝕まれれば意味は無い。
ダンジョンは狡猾なのだ。
俺は幻覚には慣れていた。
伊達に独りで潜っていたわけじゃない。
いつも鼻で笑って、幻覚が終わるのを余裕で待てた。
地獄をみた。
俺の、俺が、心の底からみたくない光景。
誰が誰を好きなのか、俺は知っていた。
理解していた。
そらそうだ、って腑に落ちる相関図だ。
俺は、お邪魔虫。
俺は、モブ。
俺は、不必要。
俺は。
動けなくなる。
白浜とカンザキが、愛し合う。
白浜は痩せて、成長して、とても綺麗な青年に成る。
カンザキが、当たり前のように御傍に居る。
寄り添う。
見つめ合う。
微笑み手を取り、口付けを交わす。
地獄だ。
地獄。
わかってた、ことなのに、みせつけられて、絶望する。
地獄は何度も俺を襲った。
俺を脅威とみなし、毎晩毎晩何度も何度も、穂高の大迷宮が地獄を見せる。
砕け散りそうな心を、強く強く独り抱き締めた。
まもってくるれるひとはいない。
俺は独りだ。
だから独りで。
ずっとずっとずっと独りで。
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