第5話

アイスを自分で買ってカンザキと食べる、という自分ミッションを失敗した白坊ちゃんこと白浜は、何故か俺に懐いてくれた。

そこで俺は連絡先を交換して、今度遊ぼうと誘った。

白浜はとても喜んでくれた。

カンザキは歓迎していなかった。

過保護、と心の中で罵ったら、ショタコンとメッセが送られてきた。

俺はそれはお前ブーメランWと返し、罵りメッセ合戦が始まった。


それは、それとして。

年の離れた友達として、俺達は遊ぶようになった。










「今日はバッティングセンターで、遊びたいと思います!」


「ましゅっ!」


「何故だ」


「え、白浜がやりたいって…えぇまさかぁ、カンザキサンはぁバッティング自身無いんですかぁ?」


「そういう貴様こそ、どうなのだ」


「はは、出来るから誘ってんだろーはは」


「ほぉ、お手並み拝見といこうか」












「ふたりともしゅごいでしゅっ!」


「まぁ、当然だよ白浜君」


「誇ることではございません」


「一体…何処まで記録を伸ばしゅのかっ…目が離せない展開になってきましゅた!」


「カンザキぃ外していーんだぜぇ?」


「ボウリング、楽しそうでなによりだ古壱君」


「…年上面ぁ!」


「ははは」


「うふふ」














「…そういうことなら俺はお手伝い出来ないよ」


「最初から期待などしていない」


「むかつくな。…だ、ダンジョン学とかなら分かるぞっ」


「古壱さんはダンジョンに詳しいのでしゅか?」


「まっまぁ、読んでるだけの知識ですけどっ」


「読んでいるだけの知識なら俺と大して変わらんな」


「だ、だんじょんまにあだから色々知ってるもん」


「何をムキになっているんだ…とにかく手伝え、出来る事手伝え」


「うぃー」




















「火を付け、テントを張ったとこまでは褒めてやる…もういい、触るなっ!」


「いやいや、こっから俺のあれがあれするんですよ」


「僕、より、出来ないなんて…!」


「白浜様手を出さないでください!あちらで古壱と遊んでいてくださいっ!」


「戦力外通告だな」


「でしゅ」


「…魚でも釣ってきたらレギュラーに昇格しましょう」


「よし行くぞ白浜っ」


「はいでしゅっ!」


















「僕、太ってるでしゅ…」


「大きくなったら痩せるよ」


「僕、古壱さんみたいになりたいでしゅ」


「大きくなったら、俺よりイケメンになるよ」


「古壱さん」


「うん?」


「僕、神崎になりたいでしゅ」


「…カンザキは、やめときなよ。冷酷無比のスーツサイボーグになっちゃうぞ」


「僕、それがいいんでしゅ」


「…そっか…」

















「ぐすっ…なんで子供向けの映画なのにこんなっ泣けんだよぉ」


「…意外だな」


「んっ…感動屋なのっ」


「はは、そうか。知らなかったよ」


「はぁ…泣けた」


「…古壱」


「なんだよカンザキ」


「貴様のお陰で白浜様が毎日笑ってくださるようになった」


「お前が居たら笑わんだろ、顔が怖い」


「…白浜様はお母様をすぐに亡くされいる」


「…」


「旦那様はお忙しく、大旦那様がご養育している現状だ。…だが」


「じーちゃんは厳しいか」


「ああ、孫と祖父、などという優しい関係ではない。悲しいほどにな」


「期待、されてんだな、じーちゃんに」


「そう、思うか?」


「そう思うから、お前っていう護衛がついてんだろ」


「…そうか、貴様は、そう、考えるか」


「古壱さーん神崎ー!」


「ああまた走って、転ぶぞ」


「古壱」


「あん?」


「いつもありがとう」


「…空から蛙が降っちゃうな」


「ははは、面白い冗談だな。鼻がまだ赤いぞ感動屋」























「私有地イルミネーションとかホント最高の贅沢だな」


「はい、でしゅー!」


「ああ、あんなはしゃいで…」


「貴様の去年の姿を観るか?」


「やめれ、変態。それ消せよ」


「はは、断る」


「…なぁカンザキ」


「…」


「ちょっと、屈んで」

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