第3話

ダンジョンは突如として生まれる。

昨日居酒屋だった場所が、次の日戸を引いたらダンジョンになっていた。

そーゆーのが当たり前の世界だ。


ダンジョンになったら、そこの所有者がダンジョンを管理する権利を得る。

しっかり管理しないと、所有権は国へ持ってかれてしまう。

でも得たからには誰しもが管理をしたがる。

大変な苦労がそこにある。

上手く管理できる者はほんの一握りしかいない。

でも、ダンジョンには色んな物が詰まって絡みついている。開けてびっくり玉手箱のような存在だ。

そう、文字通り巨万の富を生み出すアイテムが眠っているのだ。

管理してるだけで巨額の金が転がり込んでくるというのであれば、手放す者は聖人でしかない。


そんなダンジョンへ潜る者がいる。

それらは危険を顧みず、己をダンジョンで鍛え人外になりながら、一攫千金を狙う。

だから通称『ダンジョン潜り』と呼ばれている。

争うように潜るので、昔はダンジョン内で戦争とかもあった。

今はダンジョン潜り協会ってとこに登録しないといけないので、マナーやルール違反を侵した者には厳しい罰則が与えられる。

死なないようなサポートもある。

それでも危険が一杯の仕事だ。

普通の人間は選ばない職業だ。


ただ、確かに上手くやれば儲かる。

強くもなる。

名声も人気も得れる。

トップランカーなんて氷山の一角なのに、憧れの職業だなんて言われている。


強いって、思われる。

すごいって、言われる。

その所為で勘違いしてるダンジョン潜りも多い。


勘違い系ダンジョン潜りには近寄らないことをオススメする。

所詮ダンジョン潜りはダンジョン内でしか強くない。

地上に戻ったら、地上の世界に馴染めなかった屑でしかないのだ。


地上にはダンジョンと違い魔力が無い。

殺傷能力の高い技やスキル魔法は、ダンジョン内に充満する魔力ありきで使用出来るのだ。

そりゃダンジョン内で得た力なんだから、そうだろって感じだ。

その辺は科学的に調査中らしいけど、俺は理解してるから興味が無い。

問題なのは、それが理解出来ない人間が多すぎることだ。


多分アイテムが、普通に地上でも使用できるのが原因なんだろう。

一度使用したら壊れる物もあれば、何度も使用できる物もある。

一部上級アイテムとなると、その効果使用は永遠だ。

それにアイテム自体も珍しい物が多いから、いつまでもいつでも需要は高い。

だからダンジョン潜りはダンジョンへ潜る。

ダンジョン管理者は条件を付けて潜らせる。

ダンジョンによって条件は様々だ。

潜る際に料金支払いを求めるダンジョン。

持ち帰った一部のアイテムを強制的に徴収するダンジョン。

一番多いのが、ダンジョン潜りがアイテムを持ち帰り地上で買い取る、というシステムだ。

売れた何割かをダンジョン管理者へ振り込む、という契約を出入り口で行うのだ。


何もしなくても、所有者が懐が潤うというシステムが確立された世界。

ダンジョンを所有するという利権争いも、当然と激化していた。


穂高の大迷宮、というダンジョンがある。


元は巨大なショッピングモールだった。

一晩明けたらダンジョンになっていた。

最初から巨大だったが故に、攻略は難航した。

多くのダンジョン潜りたちが名声を求め富を得て、死んだ。

死を、飲んで、ダンジョンは成長する。

そこは多くの死を飲んで巨大化し難易度増し、管理者も徐々に管理することが困難になっていった。

そして、管理が行き届かなくなり、ダンジョンは無法地帯と化した。


そこを、穂高が買い上げ管理し始めた。

穂高は、膨大なダンジョン管理することで、財閥として力をつけていた。

穂高は、そのダンジョンを見事に育て巨大化させ、管理した。

世界一大きい。

世界一高難易度の。

世界一のダンジョンを。

つくりあげた。


穂高の大迷宮と呼ばれるダンジョンは、今も、成長を続けている。

穂高はダンジョンで成功し、財を成した成功者と成った。

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