敵機?



万和4年 7月 大日本国 神奈川県 横須賀軍港



遂にその戦争は始まり、実咲と弦はアメリーら亡命部隊も共にこの横須賀から遠く大西洋、北海方面での戦闘へ向け出撃した。




日領クェゼリン沖 巡洋艦愛宕(日本海軍巡洋艦としては3代目) 艦内 CIC(戦闘情報センター)



実咲、弦と共にアメリーも同じ艦に乗り込む事となり、暗いCIC内で砲雷長の実咲と戦闘指揮に当たることとなった。



「現在、我が国の領域内、我が方の勢力圏内ではあるが各員警戒は怠るな」



「実咲の軍人らしいとこ初めて見た」



「余計なお世話たい、まあこの辺りはそんなに何も起きんとは思うけど・・・・・・」



と、言っていると何かが起こるというわけで・・・・・・



「対空レーダーに感!20機の編隊、我が艦隊の東方上空3千より高速接近中!」



「連盟共用識別信号送れ!」



「応答ありません!」



「こんなとこに敵?・・・・・・た、対空戦闘用意!機体を視認、敵と確認できるまで発砲は禁ず!」



実咲の頭は混乱していた。こんな味方の箱庭のような所で敵機など・・・・・・それにレーダーでは近くに空母がいる様子もないのにこの編隊はどこから・・・・・・そんな事を考えているうちにその編隊は視認距離まで接近し、カメラ解析情報がCICに入ってくる。



「砲雷長、この機体は・・・・・・」



「なにこれ、これは飛行機なの・・・・・・?」



「実咲、私達何と戦ってるのかな・・・・・・」



「ていうか敵ならもうミサイルか誘導魚雷くらいは撃ってるはずよね・・・・・・」



その機体?は国籍軍籍識別マークも何も無く、エンジンすらどこにあるか分からない、しかしローターはなく空を飛んでいるのでヘリではなく飛行機なのだろうと推測するしかない代物であった、そんな謎の機体達は一見、武装している様子もなく、愛宕達艦隊の上空をただ小バエのように飛び回っていただけだったが・・・・・・



「・・・・・・不明機が再び隊列を組み始めました!砲雷長、発砲命令を!」



「分かった、主砲・・・・・・は下手すりゃ同士討ちの危険があるな・・・・・・ファランクス機関銃発射用意!3、2、1・・・テッー!」



ファランクスとは艦載の近接対空機関銃の一種であり、これは撃つというよりコンピュータ計算により弾を吐き出しまくって近くまで迫った敵機やミサイルを撃墜する為の兵器である。

これは大抵の飛行機なら耐えられないはずで、いくら未知の何かと言っても飛行機なら落とせるはずだと実咲もアメリーも皆思っていた。



「敵機、ファランクスをものともせず降下中!あ、筑摩が・・・・・・!」



巡洋艦筑摩に狙いを定めた(ように見えた)その不明機は、なんと文字通り筑摩を

愛宕の観測員からもその様子は視認していたが、本当にミサイルも爆弾も落ちた音はせず、筑摩の残骸、流出した燃料も、乗組員も発見できなかった。そして、艦隊はありのままを内地の司令部へ報告、データも送って一旦逃げるように横須賀へ帰投する事にした。

消えた筑摩と乗員達を探しながら・・・・・・



































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る