『新学期と僕と幼馴染③』
新入生の歓迎会が終わり、僕らはまた教室へと戻る。
先程、歓迎会と同時進行で始業式も行なった為、新たな担任も決まった。
「タカさんになるの1年生ぶりじゃね?」
千春が隣の席で僕にそう言った。
そもそも僕は昨日、電話があった時点で多分あの人が担任になるんだろうなと予測していたが、まさか本当に担任になるとは思いもしなかった。
「まぁ、うちの顧問だから僕らにとっては良い事なんじゃないの。」
僕は千春にそう返した。
その言葉を聞くと千春は小さな声で「あとで今後のこと相談すっか…」と呟いていたが僕は聞いていないふりをし、前を向こうとしたその時だった。
「…ん?」
僕と千春を見る誰かの視線を感じた。
そしてその視線の方に僕が目をやると、明らかに一瞬で視線を逸らした人物が居た。
「どした、黒夜。」
「いや、見られてたなって。」
「誰に。」
「あの子に。」
僕は千春に視線を送っていた子を言うと、千春は迷いもなくその子の名前を答えた。
「んあぁ、
「いやだって、興味ないから。」
「出た。黒夜の人に興味示さないやつ。」
別に友達は少なくても良い、と言うのが僕のモットーだから1年から同じ奴でもあまり名前は覚えない。
と言うか、凄く話かけてくる奴の名前は覚えるけど、流石に面識があまりない奴の名前は僕じゃなくても覚えないような気もするのだが。
「江ノ島に『川崎屋』って言う旅館あるじゃん?そこの娘さんだよ。」
「あ、あの高級旅館みたいなところか。」
「そ。うち卒業したら次期女将候補で修行に入るんだとさ。」
なんでこんなにも千春は江ノ島の事情に詳しいんだろうと思ったが、それはどうでもいいか。
でもそんな子がなんで僕らを見ていたのかが気になるが、まぁ、そんなことはどうでもいいかと思う。
「てかさ、黒夜。」
「なんですか、ちーくん。」
「その呼び方はやめろ。じゃなくて、今日は部活やんの?」
ちーくんは僕が昔呼んでた千春のあだ名。
今は千春の彼女が言ってるはずだが、もう1人の幼馴染みの僕は言ったらダメなことが今分かった。
僕はそんなことを考えつつ、千春の問いに対して、
「新入生が部活回りするんでしょ、今日は。だから開けとかなきゃいけない筈だよ。」
と答えた。
その答えに対して千春は、
「意味もわからんうちの部活に1年が入ってくるかぁ…?」
と言っていたが、まぁそこは神様に願うしかないよ。ちーくん。
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