4月

『いつもの日常①』

朝、江ノ電の始発駅である藤沢駅はいつも通り人が多い。

実際は江ノ電だけじゃなくJR、小田急の駅でもあることから東京に仕事や学校に向かう人たちが大勢いる。


「ふわぁ…」


僕、南鎌倉高校に通う『藤沢黒夜ふじさわくろや』は江ノ電の乗車ホームで大きなあくびをした。


時刻は午前7時30分。

普段はこんな時間に駅のホームになんかいない。


ただ今日は新学期ということもあり、3年生代表で新入生の前に立ち、スピーチをしなければいけないので早く学校に登校するようにと昨日、2年生時の担任から電話があった。

…てか、そんな大事なことを前日に電話してくんなって話なんだけど。


江ノ電は12分間隔で電車が動いている。

何しろ、全てが単線なので東京みたいな都会のように5分おきとかそんなことは出来やしない。

そんなことをしたらパンクするどころかどこかで事故が起きる。


「あと6分…」


僕はスマホで時間を確認した。

今の時刻が30分だから次の電車は36分に発車する。

この6分が異様に長いわけで。


江ノ電は36分に発車はするが、駅に到着するのは大体、34分くらい。

降車ホームに人を降ろしてから乗車ホーム側の扉が開くまでに時間がかかるからだ。


朝だから藤沢行きに乗ってる人が少ないとは大間違いだ。

先程も言った通り、藤沢駅は東京に行ける神奈川県の中の一つの重要駅。

確かに鎌倉からも行けるけど、藤沢は『東海道線』だから横浜を過ぎたら直ぐ東京に着く。

だから大体の人は皆、鎌倉には行かず藤沢に来るわけで。


…と、そんなことを思っているうちに電車が駅へと入ってきた。

当たり障りのない、いつも通りの日常。

今日も憂鬱だと思い、僕は電車へと乗り込む。

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