第8話 検索の後で。退屈な非日常のおわり。ニート生活で溶けない疑問。
Scene8
夜。
階段を上って地上に出た僕は、その辺の草を摘んで、紙で巻き、火をつける。
日中はたいていアオイがいるため喫煙は許されていないが夜は違う。格別の時間だ。
今日は割と面白い一日だったと思う。
別に弟子を取ろうと思ってはいなかったが、今日の一件でアオイには自分の知識を引き継いでも良いと素直に思った。
――――だが。
車の映像を見たとき。肉のステーキが焼ける動画を見たときのあの表情。
別れ際に言った綺麗ごとは建前で、彼女も欲望に突き動かされたのかもしれないな、と思い直す。
それでは検索師の道は遠のくばかりだよアオイ。やれやれ全く。
それにしても。僕は一体誰なんだろうか。
形の崩れた簡単なひらがなを読めなかった。
「私はロボットではありません」今ならその文字のボックスにチェックを入れられるだろうか。
拭いきれない黒いしこりが僕に残るのを感じた。
強い風が吹く。僕の髪を薙いだその風が、熱いのか冷たいのか、僕にはわからなかった。
ロスト仙台インターネットエクスプローラーズ @ienikaeru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます