第3話 検索体験と反省会
Scene3
「……、で最後にパイ生地の上に砂糖とシナモンで煮詰めたりんごを乗せ、網状に切り目を入れたパイ生地を乗せて焼く。っと」
トイレから出てきた私は燈子の顔の横から画面をのぞき込んで、机の上の紙に書かれたメモと見比べる。
「ねえ。画面に書いてあることを紙に書き写しただけじゃない。これが検索師? せっかく私の秘密基地貸してるのにさあ。全然危険な仕事じゃないね」
「ははは、そうかもね。でもこの紙には純粋なリンゴパイの作り方しか載っていない。欲望の惹起がされるような存在はないだろ? それが大切なんだ。インターネットというやつは、かつての人類の集合知のはずが、何故かダミーの情報が多く、抜き出す情報は検索師の腕にかかっているんだよ」
「ふーん、よくわかんないけど。なんだかつまんない仕事だね、検索師って」
はあ、と燈子は煙を吐くようにため息をついて言った。
「わかったよ。本当の検索師の仕事を見せてやる。明日またここに来い。ちょうどいい依頼も入っているからね」
「いや、ここ、もともと私の秘密基地だから!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます