第3話 検索体験と反省会

Scene3

「……、で最後にパイ生地の上に砂糖とシナモンで煮詰めたりんごを乗せ、網状に切り目を入れたパイ生地を乗せて焼く。っと」

 トイレから出てきた私は燈子の顔の横から画面をのぞき込んで、机の上の紙に書かれたメモと見比べる。

「ねえ。画面に書いてあることを紙に書き写しただけじゃない。これが検索師? せっかく私の秘密基地貸してるのにさあ。全然危険な仕事じゃないね」

「ははは、そうかもね。でもこの紙には純粋なリンゴパイの作り方しか載っていない。欲望の惹起がされるような存在はないだろ? それが大切なんだ。インターネットというやつは、かつての人類の集合知のはずが、何故かダミーの情報が多く、抜き出す情報は検索師の腕にかかっているんだよ」

「ふーん、よくわかんないけど。なんだかつまんない仕事だね、検索師って」

 はあ、と燈子は煙を吐くようにため息をついて言った。

「わかったよ。本当の検索師の仕事を見せてやる。明日またここに来い。ちょうどいい依頼も入っているからね」

「いや、ここ、もともと私の秘密基地だから!」

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