〈陽菜乃視点〉







ウサギはコンビニを出ると手も繋がずに

スタスタと歩いて行ってしまい

私はその後ろを何も言わずについて行った…






( 友樹君が帰らせたのは… )





「・・・・」


 



さっきウサギはレジである物を買っていて

あの友人は気をきかせて

商品を開封してあげていた…





ウサギは今日私に会うなんて思ってないから

着替えだって持ってきてないし

時間もまだ22時過ぎだから

私を送ってから

家に帰るのかなと半分思っていて

もう半分は…私も期待していた…





「・・・・はーちゃん?」




ハルト「・・・・・」




「・・・・怒ったの?」




ハルト「・・・・外で待っててって言ったのに…」





私のアパートに近づき歩く速度を落とした

ウサギはボソッと呟いて

その声色は顔を見なくても不貞腐れているのが

よく分かり、少し歩く速度を上げて

ウサギの腕の部分の服を掴んだ





「・・・・はーちゃんの…初めてくれるの?笑」





ハルト「もうッ!

  本当にデリカシーのない人だね!」





ウサギは顔を赤くしながら怒っていて

コンビニであの友人から渡された買い物袋を

差し出しながら「また晩酌?」と言いながら

小姑のように説教を始めだした






アパートの扉を開けて靴を脱ぎながら

あの日の事を思い出し

部屋の奥に行かずにウサギが靴を脱いで

部屋に上がる姿を見つめた





ウサギもあの日を思い出したのか

部屋に上がると玄関の方を何も言わずに

ジッと見ていて私に顔を向けると

「ただいま」と照れ笑いを浮かべて言ってきた





泣き虫な私の目に涙は溢れてこなかった…

だってコレは夢じゃないしずっと聞きたかった

言葉だったから出るのは涙なんかじゃない…






「お帰りなさい…はーちゃん…笑」





ハルト「ヒナのお帰りなさいは初めてだね?笑」






笑顔でウサギに初めてそう言うと

ウサギも笑って「もう一度言って」と

抱き寄せてキスをしてきた…





ハルト「今度は本当に責任とってもらうからね?」






唇を話してお互いのオデコをくっつけてきて

そう囁いたハルの言葉の意味が分かり

「しょうがないな…」と言いながら私から

もう一度キスをした…





この日初めて…

9月1日に私が勘違いして…

ハルが私についた嘘が…本当になった…





あの時は…

こんな20歳の男の子

冗談じゃないと思っていたけど…




ウサギの様な顔をした子供だった彼は

あの3ヶ月で私の思いをここまで変えたんだ…





私の彼氏…ラビット君






♡第一章FIN♡



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