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〈陽菜乃視点〉
ハルト「ヒナ!」
ウサギに呼ばれ顔を向けると
ウサギはコートを羽織っていて私のコートも腕に
かけてからコッチに歩いて来た
「帰るの?」
ハルト「うん、コート着てね」
まだ22時過ぎだし
皆んなと楽しく話しているから
まだ帰りたくなく…
差し出されたコートを受け取っても
中々袖を通さないでいると
ユウキ「ネーさん!俺たちも
もうソロソロ帰りますから陽兎と一緒に
今日は帰って、また年明けてから飲みましょ?」
友樹君にそう言われ
私がいては出来ない話しもあるかもなと思い
「分かった」と立ち上がってコートを着た
マスターや皆んなに年の瀬の挨拶をしてから
店を出るとあの日の様に私の手を握る
ウサギを見て胸の奥が暖かくなるのが分かる
いつも歩くこの道をウサギと手を繋いで
並んで歩いている事が今でも信じられなく
明日目が覚めたら「夢か…」と起きて
泣いてしまうんじゃないかと思った…
ウサギと話ながら歩いていると
数時間前に買い物をしたコンビニの看板が見えて
買い物した物を置いてきたうえに
何も言わずに飛び出して来た事を思い出し
歩く足を止めて立ち止まってしまった
( ・・・・まだいるよね? )
あの時間にいて退勤なんて事は考えにくいし…
あの子は友樹君達と違って
少し…だいぶ苦手だった…
「どうしたの?」とキョトンとしたウサギ顔で
私を見るハルを見ながら「何で友達なの?」
なんて失礼な事を口にしそうになってやめた…
私には口も悪く、失礼だけど
さっき彼が言っていた言葉は全部ウサギを思って
出た言葉だしウサギにとっては大切な友人だ…
ゆっくりと歩きだし店の少し前に来ると
ウサギが私に「ちょっとだけ此処で待ってて」と
言って店の中へと入って行った
( ・・・・付き合う事になった報告かな? )
ウサギはさっきの事も、私が二人の関係に
気づいている事も知らない事を思い出し
中へ入りあの店員に「ありがとう」と
言うべきかなと思い重い足取りで中へと入った
ウサギと一緒に彼に会うのは初めてだなと思い
少し気まづさを感じながら
ウサギと彼のいるレジの方に顔を向けると
二人は私以上に気まづそうな顔をしている…
「・・・・外にいるね…」
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