〈ハルト視点〉








ハルト「お邪魔します」





「ん??荷物いっぱい?」





ハルト「まったく鼻がきくねぇ…笑」






付き合い始めた時によく言われていた

言葉をヒナに言うとジロッと睨まれたけど

全然怖くないし「困った人だな」と

からかいながらキッチンへと向かった






「久しぶりに可愛くないウサギね!!」





ハルト「可愛いばっかりじゃ飽きちゃうでしょ?笑」





「何よ……ん?料理するの??」






荷物を取り出して行くと少し背伸びをしながら

覗き込んでくるヒナを見て笑いがでる





ハルト「子供じゃないんだから座っててよ!笑」





「なんか今日生意気じゃない!?」






怒ってバシバシと俺の背中を叩いてくる

姿は本当に幼く見えるし29歳だなんて

誰も思わないよと目線を下げた…






「何作るの??」






ハルト「出来るまで内緒だからテレビでも見てて」






このまま子供みたいにはしゃいでるヒナを

見てると泣いてしまう気がして

テレビの部屋に追いやった






持ってきた食材を並べていると「はーちゃん」と

ヒナの呼ぶ声が聞こえて「ん?」と返事をすると

「コッチに来て」と言うから何だろと思い行くと






「ハイ!首下げて!!」





ハルト「エプロン??」





「汚れちゃうでしょ??」






ヒナがいつもつけているエプロンを首から

かけて後ろの紐を結んでいるヒナは

楽しそうな顔をしていて俺も口の端が上がった






「コレでよし!!

 美味しいご飯お願いねシェフ!笑」






ハルト「シェフ…なんかいいね?笑」






キッチンに戻りばーちゃんから教わった

レシピメモを取り出して料理にとりかかると

部屋の中はヒナはつけているテレビの

音だけが響いていて、ふと顔を上げると

ヒナがコッチを見ていた…







ハルト「なんでコッチ見てんの?笑」






「・・・・見ておこうと思って…」






ハルト「・・・・・・」






ヒナは膝を抱えて座っていて

テレビの方へと顔を向けたけど

何となくその後ろ姿は寂しそうに見えた






(・・・・本当は驚かせたかったけど… )






ハルト「・・・手伝ってくれる?」






全部一人で作って見直して欲しかったし

レシピメモも見つかりたくなかったけど…




ヒナとの残り少ない時間を出来るだけ

一緒にもっと近くで過ごしたいと思い声をかけた






「仕方ないウサギね!笑」






笑って駆け寄って来るヒナを見て

やっぱり29歳に見えないよと思いながら

涙ぐむ目を玉ねぎのせいにした…





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