〈陽菜乃視点〉






ウサギが作ろうとしていたのはコロッケで

前回の雑炊を作っている声を聞いていたから

正直ムリじゃないかと思ってしまったけれど

キッチン横のメモを見て練習したんだと分かった…






「・・・・お婆さん直伝??」






ハルト「そっ!もうじーちゃん達だいぶ食べたから

  しばらくはコロッケ食べないだろうね?笑」






「・・・・やっぱり手伝わない…」






ハルト「えっ!?」







多分コレはウサギからしたら

あんまり嬉しくない行為だと分かってはいるけど

私のワガママも聞いてほしかった…





私はウサギの後ろに回って彼の背中に

トンっと顔を当てて腰に腕を回して

ウサギがよくしていた様に引っ付いた…






ハルト「・・・・・・」






「コレがどれだけ料理しづらいか分かるといいよ?笑」





ハルト「仕返しってわけ?笑」






「そっ…だからこのまま作って…」







ウサギは何も言わないで料理をしだして

私も何も言わずに瞼を閉じると

目に溜まっていた涙が

ゆっくりと頬をつたって落ちていった…





もしあのまま健司に知られなかったら

私は13日後の最後の日にこの手を離せて

いたんだろうかと考えた…





でも、いくら考えても

私は29歳で彼が20歳なのは変わらない…






( ・・・・もう少しだけ… この子の側に… )




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