〈ヒナノ視点〉







ハルト「最後に…」






そう言ってまた唇を寄せるウサギに

胸の奥がギュッとなるのが分かった…





ウサギが帰って行って数分もしないで

呼び鈴が鳴り忘れ物でもしたのかと

覗き穴を確認もしないで扉を開けると…






「・・・・健司?」






ケンジ「・・・・こんばんは…陽菜乃…」







昨日とは逆で

ウサギかと思って開けたドアの先には

健司が立っていて驚いた…







ケンジ「・・・・今帰って行った…

  可愛い彼氏と間違われちゃったかな?笑」






「・・・・・・」







健司は少し寂しそうに笑ってそう言うと

「上がってもいい?」と聞いてきた…






人目もあるし中に入れようかと思ったけれど

ウサギの顔が横切り

首を横に振り「ダメ…」と答えると

健司の左手が私の右耳に伸びてきて

ビクッと体が揺れて一歩さがった







ケンジ「・・・・最近片方だけつけてるそのピアス…

  新しい彼氏からなんだろうとは思ったけど

  まさかあんなに若い彼氏だったとはね…?」







健司が現れたのはウサギの帰って直ぐ後だったから

ウサギがこの部屋から出て行くのを見られたん

だろうと思い顔を下げた…






ケンジ「彼…いくつなの??」






「・・・・健司には関係ないでしょ… 」






ケンジ「・・・・関係ないか…

  寂しい事言われちゃったな…笑」






「健司とは…4ヶ月も前に別れてる…」






ケンジ「元彼としても面白くない話だけど…

  今度は会社の先輩として聞くよ…

  さっきの彼はいくつなの…

   まさか未成年じゃないよね?」






健司の言葉に背筋に汗が流れるのが分かった…

これは多分熱のせいなんかじゃない…







「・・・・20歳… 」






ケンジ「・・・いつから付き合ってるの?」






「・・・・2ヶ月前… くらいかな…」






ケンジ「はぁー…陽菜乃…

    僕が言いたい事は分かってるよね?」






「・・・・」






ケンジ「彼は…大学生だよね?」







どうして分かったんだろうと健司の顔に

恐る恐る目線を合わせると

健司は呆れたように、困った顔をしている…







ケンジ「僕が言える立場じゃないけど…

  相手にとっても…陽菜乃にとっても…

   いい話じゃない事は分かってるはずだよ?」

 





「・・・・」






ケンジ「彼は一時の遊びで終われるけど…

  陽菜乃は…会社や周りの友人にバレたら

    困る事になるんだよ??」







( そうだ… 私は29歳で彼は20歳だった…)



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