〈ハルト視点〉








右頬に柔らかい感触がしてそれが何なのかも

直ぐに分かって目を開けた






ヒナは俺が目を開けた事に驚いて

何も言わないで固まっている…






ハルト「・・・・・」







目が覚めてからのヒナは少しおかしかった…

俺を見る目が時々甘えるというか

熱を帯びた目をしていて

風邪だからかなと思っていたけど

多分勘違いではない…





起きあがってヒナにキスをしようとすると

「風邪うつっちゃう」と俺を止めるヒナの目は

やっぱり少し熱を帯びていて

本気じゃない抵抗の手を下に降ろしてから

また唇を寄せるとヒナは目を閉じた






少なくとも嫌われてはないだろうと思い

ヒナに来週の土曜日…11月3日に泊まった時に

そうゆう事をすると遠回しに伝えると

分かったようで笑い出した






また子供扱いかと思い「バカヒナ」と言って

ギュッと抱きしめるとヒナは笑ったまま

俺の背に腕を回してきて

了承の意味なんだと思った…






それから30分ほど抱きしめてキスをしてを

繰り返していると「そろそろ帰りなさい」と

いつも通りのヒナに戻ってしまい

(もう?)と軽くいじけたけど

俺がいるとゆっくりと出来ないかもと思い

「ハイハイ」と帰る事にした






靴を履いていると背中のリュックを軽く引かれる

感覚がして振り返るとヒナがちょこんと掴んでいた






ハルト「・・・・・・」






「・・・・来てくれて…ありがとう…」







ヒナは年上で、お姉さんで…

しっかりしていて、口うるさいけど…

俺が年下とかじゃなかったら

本当は甘えん坊な性格なんじゃないかなと思った…







ハルト「来週までには治しててね?笑」







そう言ってオデコに軽くキスをすると

ニコッと喜ぶわけでも怒るわけでもなく

目線を下げてリュックを掴む手が

ギュッとなっているから

ヒナなりの照れてる仕草なんだと分かり

「最後に」と言ってもう一度ヒナの唇にキスをした






唇を離して「ちゃんと薬飲んで寝てね」と伝えると

ヒナの部屋から出て行き階段を降りていると

長身の男とすれ違い

狭い階段で邪魔になるかなと思い

右端に寄るとその男は俺の顔を見て一瞬固まり

何故か上から下へと視線を移して俺を見ている






足元にまで下げた目線を俺の顔へと戻し

「すみません」と笑って言うから

「いえ」と頭を下げて階段を降りて行った






( アパートの住人かな? )





見かけない顔の俺を不審者とでも思ったのだろうか

と考えながら駅まで歩いて行った



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