第4話

〈ヒナノ視点〉








ハルト「お詫びに奢ってよね?

     どれがいいかな…陽菜乃のお勧めは?笑」





「お詫び…奢る??…

 だいたいさっきから何呼び捨てにしてんのよ…」





ハルト「いいじゃん!笑

  それより、俺せっかく20歳になってやっと

  お酒で乾杯しようと思ったのに誰かさんが

    約束破ったせいで、まだ人生初めての

     アルコール飲めてないんだけど?」





「・・・・戻れば…?」





ハルト「ちょっ! カッコつけて出てきたのに

  今更戻れるわけないでしょ??」






(知らないわよ)と思いながら冷ややかな目を

向けてもこたえた感じはなく飲料コーナーの扉を

開けて「どれがいいかな」と勝手に選びだした…





「・・・ちょっと…何本買う気よ…」





並んでる酎ハイを手当たり次第にカゴに入れていく

彼に眉をピクッとしながら問いかけると






ハルト「だってどれが美味しいか分かんないじゃん?笑」





「・・・・350mlしか入れないでよね?」





スーパーなら100円ちょっとで済む

酎ハイをなんで10本以上もコンビニ価格で

買わなきゃいけないのよとイライラしながら

目の前で楽しそうに酎ハイを選び続けている

憎たらしい彼の頭を見下ろしながら思った…






ハルト「おつまみってやつもいるよね??」




「はぁー・・・ちゃっかりしてんのね…」






棚に並んでるおつまみを端から順番に

カゴに入れていく彼を見ながら

その憎たらしい顔をジーっと眺め…

彼がカッコイイ顔立ちをしている事に気づいた…




( ・・・なるほどねぇ… )





目はクリッとしてて可愛い顔してるし…

普段からこんな風に年上のお姉さんに

タカリ慣れてるのかなと思い

最近の大学生は怖いなと彼を見ていると






ハルト「これだけあれば大丈夫だね!」






と満足気な顔をしてレジに真っ直ぐ歩いていく…

「はぁ…」とタメ息を吐きながら

レジの合計金額を見て5000円を超えなかった

だけまだ安いタカリなのかなと思いながらお金を出した





(さっさっと消えてよね)と思いながら

「お詫びも買ったからいいでしょ」と伝えて

自分のアパートに向かって歩き出すと

後ろからガサガサと買ったコンビニ袋の揺れる音が

聞こえて「君もコッチなの?」と問いかけると

ニコニコとした笑顔で「そう!」と答えてきて

「あっそう…」と前に向きなおってまた歩き出すと

ずっと聞こえてくるコンビニ袋音に気まずさ

を感じながらアパートの階段を登り足を止めた





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