第2話

〈ヒナノ視点〉









少年は固まったまま口を開けてコッチを見ているから

頬杖をついて上体だけを彼の方に向けて

「そう!アンタ!」と言うと






女「陽兎!何してんのよー!おかわり早く!」






と後ろから呼ばれて顔を向けて「ハイハイ」と

返事をした彼はマスターに頼まれたお酒の

注文をするとまたコッチに顔を向けてきた…





ハルト「俺、アンタとか初めて言われたよ!笑」






と何が楽しいのか笑いながら話しかけてくる

その少年を見ながら「はぁー」とタメ息を吐き

お酒が準備出来るまでは横にいる気なんだと

分かり「あっそ」と愛想のない返事をした






ハルト「一人で来てるの??

     なんか大人って感じだね?笑」





「ふっ…感じじゃなくて〝大人〟なの!」






ハルト「あはっ!笑 何歳なの?」






(あはって…)と思いながら「29」とだけ

答えてお酒を作っているマスターを眺めていると






ハルト「29!?へぇー・・・

  あれだ!ニクニクしい年ってやつだ!笑」





「にくにくしい!?」






少年の発言に(はっ!?)と思いながらも

子供相手に本気に怒るのもバカらしいと思い

グラスを持ち上げてクイッと飲むと

「お待たせ」とマスターが頼まれたお酒を差し出した





「ありがとうございます」と笑顔で受け取って

後ろの騒がしい席へと戻って行き

(やっと行った)と思いながら特に予定のない

残りの連休の事を考えていると

ガッと隣りの席の椅子が引かれさっきの少年が座ってきた






ハルト「ただいま!笑 お姉さん名前は??

  俺はハルト!太陽の陽に兎で陽兎っていうんだ」






「・・・・・君さぁ…」






ハルト「だ・か・ら、ハルトだってば!」






「・・・陽兎君…お友達の所に帰りなさいよ」






ハルト「アイツらとはいつでも話せるからいいんだよ!」





「・・・・(うるさい子だな…)」






ハルト「でっ!名前は??」






「陽菜乃よ…」






ハルト「へぇー…陽菜乃かぁ…

  ねー陽菜乃はさ、よくここ来るの??」






「・・・・君いくつ?」






明らかに年下の彼から呼び捨てにされる

覚えはなく嫌味っぽく年齢を聞いた…







ハルト「え??19だけど?」







「じゅっ・・じゅう・・19!?」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る