宣戦布告

 世界は荒れていた、既存の社会システムは崩壊し略奪や強姦といった倫理のない悪行が当然の如く横行していた。

 

 この動乱に乗じて、軍部は宣戦布告をしたのである。


 令和XX年 某月某日

 

 『我が国の開戦、恒久なる平和の元に在り、全世界をおおいしわざわいをはらい、全人類の存続を願いここいくさを宣言す』


 

 「なんやこれ、どこに向けての宣戦か分からんな」

 

 「ああ、今は国家なんて何処にもない、それでも条約は守るんだから、おかしなもんだよ」

 

 「或る意味ではチャンスやな。せやけど、今更、世界の統制なんて無理やろ」


 「そうだな、恐らくはあれだ、ほら、ってやつさ」


 「そんなカッコつけても無駄や、要は略奪や、飯が無いから奪い取るんやろ」

 

 「違って欲しいが、そうだろうな、きっと」


 兵士達がいぶかったこの宣戦布告が、世界中のごろつき共に知れ渡ったその数日後、ソヨカゼの所属する部隊は武蔵野連隊と命名された。

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