第六話(健全Ver.)

性的描写がないバージョンです


 僕はジャンゴ虫の死に際の言葉を思い出していた……。

 「ハハハ……ジャンゴ! 死に際の俺だが大事なことを教えてやる。このガソリンスタンド神殿の地下にあるガソリンスタンド洞窟を抜ければお前も晴れてG・S(ガソリンスタンド)に到着だ」

 ……嫌な予感がする。

 「ジャンゴどうしたの? いつも勇み足のあなたがまるでバビってるみたいじゃない?」

 金髪女・ギャルギャモが言うので、俺はギャルギャモの鳩尾を殴り飛ばす。

 「バッ、馬鹿が! ちげぇよ! ただ……いやな予感がする」

 ギャルギャモに図星を貫かれて激怒するジャンゴ!

 「まぁいいわ。警戒心を持つのは重要なことよ」

 そういいながら洞窟内へずんずん突き進んでいくギャルギャモ。

 「お……追いかけなくていいの?」

 ガッデム虫がおずおずと僕に言う。

 「グハハ……ギャース!」

 「嫌な予感がする」

 物憂げな表情を浮かべながら呟く俺、ジャンゴ。

 「ギャーッ」

 変な叫び声が聞こえてきた!

 「こ……この声って!」

 びっくりするガッデム虫。

 「これはギャルギャモの声か!」

 つづいてびっくりする俺、ジャンゴ!

 「ジャ、ジャンゴ! 追いかけなくていいの?」

 「嫌な予感はするが……どうするか。ええいママよ!」

 僕は洞窟に突乳する。ガッデム虫も追いかけてくる。

 「待ってよ~ジャンゴっ!」

 「むっ、待てガッデム虫。嫌な予感がする……よけろ!」

 「えっ? ひゃあっ」

 ガッデム虫は頭を岩石のような矢に貫かれて爆散した。よく見ると矢はギャルギャモだった。

 「えっ助けに来てくれたの? 信じていたわ、ジャンゴ!」

 「ギャルギャモ! するとここは洞窟の中か」

 よく見ると洞窟の中には恐ろしいトラップや恐ろしいモンスターが所狭しとひしめき合っていた。

 そして僕たち二人は恐ろしいデス洞窟を脱出したのだ。

 「ここがガソリンスタンドね……」

 ぱっと見た感じ、ガソリンスタンドは縦横3kmの真っ赤な立方体を成している洋館風の建築物で、内部は九か所に別れていて、事務室・受付以外は全部ガソリンスタンドに見えた。

 「ここからガソリンを手に入れなきゃいけないってわけかい」

 僕は腕くみをし、組んだ腕に体を預け、かっこよくギャルギャモの返事をまった。しかし、ギャルギャモは返事をせず、ただ自分の耳のピアスを見つめていた。

 「でも……どうすればいいんだ? あれだけ厳重な宇宙神殿とデス洞窟に守られているGSだ。俺たちみたいな格好の奴らが入っていったら真っ先にギロチンの餌食だぜ」

 そこへ洞窟からのこのこやってきたガッデム虫!

 「ジャンゴ・ギャルギャモ・待ってよ! ここは僕に任せて」

 「おっそうだ! ギャルギャモも俺も屈強な剣闘士の姿をしているため怪しまれてしまうが、ガッデム虫なら!」

 「そうね! ガッデム虫がガソリンスタンド内部の奴らを油断させている隙に、私がクレジットカードでガソリンを買うわ!」

 「えぇっ僕が!?」

 驚いて目を丸くするガッデム虫!

 「でも、僕、男の子だよ……?」

 「大丈夫だ、これをみろ!」

 僕はポケットからワンピースを取り出す。

 「あっそれがあればガッデム虫は完全に幼い少女にしか見えないわ! 考えたわね、ジャンゴ」

 ギャルギャモが飛びたった。僕はガッデム虫にワンピースを差し出す。

 「さぁ、これに着替えるんだ」

 「で、でもこんな人通りの多いところで……」

 うるさいガッデム虫に平手打ちをくらわせるジャンゴ。

 「黙れ! 着替えろ!」

 パァン。

 「ギャーッ」

 さらに空中からギャルギャモが滑空しながら足のかぎづめで襲い掛かる!

 「着替えろォーッ」

 ズバァ!

 「げげーっ、ギャッ」

 体中から血を吹き戻しながらしぶしぶウナづくガッデム虫。

 「う……着替えます」

 「最初っからそうしていればいいんだ!」

 僕はきっぱりと言って、ガッデム虫の足元にワンピースを放り投げる。

 猛烈な頑張りによりなんとか一人で着替えたガッデム虫。一見可愛い女の子に見えるがその姿は狂った女装男である。

 「これで満足……?」

 ガッデム虫に問われ、僕は答える。

 「満足してねぇよハゲッ! 早くガソリンスタンドに行け」

 「そうだッ死ねッッッ!」

 ギャルギャモは爆音で叫び、拳を地面に押し付ける。バゴォ! 猛烈な破壊音が響く! ガソリンスタンド警備兵士・ポイズンガメの声が聞こえてくる! 

 「変な音! 何か怪しい気配がするからそっちに行くぞ!」

 俺はハーモニカに飛び込んで身を隠したが、ガッデム虫はおろおろと狼狽し、見つかってしまった!

 「あれ? 子供……? どうしてこんなところに……?」

 女装したガッデム虫がまんまとお嬢さんだと思われたので僕はつい噴き出してしまう。その笑い空気によりハーモニカがプパーパという音を立てた。

 「なんだ? 今の音」

 「私のオナラです」

 ギャルギャモのフォローにより難を逃れた僕は安堵のため息を漏らす。

 「なんだオナラか。あ、そうだ。お嬢さん、どうしたんだい?」

 ポイズンガメがガッ虫にだずねる。

 「えっ……僕、あ、いや、私……ま、迷子になっちゃって」

 「それは困った。迷子センターに連れてってやろうか?」

 「あっ……」

 僕をちらりと見るガッデム虫。僕は自分のブレーキランプを五回点滅させる。

 「迷子センターに行け」

 のサインだ! ガッデム虫は答えた。

 「あっ……お願い、連れて行って」

 そして僕たちはガッデム虫をガソリンスタンド内部に潜入させることに成功したのだ。

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