第3話 謎の伝説! サイバー革命軍
電磁パルスエネルギーを全開でギュルギュル進む宇宙船・ギャラクティカイザーのコクピットで不敵に笑う二人の男がいた。一人は金髪でオッパイの大きな女、もう一人は男だ。
「ここがガンモガンモの第三ガソリンスタンドね。見てぇ! 見て、きれいなオーロラぁっ。 あれ? レッ? 無いッ」
無邪気な笑顔を見ながら、ふっと無邪気にほほ笑む男の名はジャンゴ。ジャンゴは俺のことである。ジャンゴはムキムキの腹筋を誇示するように服をかきあげながら金髪女・ギャルギャモに言う。
「あれはガリソンスタンドかよ。」
「そう、あそこのガソリン貯蔵庫にはガソリンキューブが100個入っているのよ」
「それをどうにかして手に入れなきゃってわけだろうが! どうするよ、俺の妖刀・ゴリ谷がうずいてるぜ、早く100人目の血を吸わせてくれってな」
「ジャンゴお得意の熱血ファイトの出番は今日はどうやらないみたいよ」
「なぜだい?」
「これがあるからよ、宇宙アメックスカード!」
「わっ、クレジットカード。しかもプラチナゴールドカードじゃねぇか! どうやって手に入れたんだい?」
俺は質問を繰り出す。
「なんと上限額五百兆円。これでガソリン入れ放題なのよ」
ギャルギャモが金切り声で叫ぶ! おれはウナづく。
「そう」
そして宇宙シップ・ガルドナは半重力装置の出力を抑えながらゆっくりと着地した。
「何をぺらぺらと喋っているの。黙りなさい! 降りるわよ」
「おう!」
ガルドナの宇宙ドアが開き、中から不気味な人影が二つ躍り出る。俺たちだ!
「さぁ、あのガソリンスタンドまで走るわよ」
「おう!」
走ったことにより歩いた場合よりも早くガソリンスタンドにまでたどり着いた俺たちは、短縮された時間を活かしてコーヒーを飲もうという話になった。ちょうどガソリンスタンドの隣がコーヒー屋さん・ボボムラだった。ボボムラは銀河で一番売れているコーヒーチェーン店である。自動宇宙ドアがギュギューッと開き、なかからボボムラの店員さんが現れる。
「クピクピポゲ」
「なんだ? 日本語をしゃべれよな~ッくそがき!」
肩をすくめながら目を丸めて口をすぼめるギャルギャモのすくまった肩に手を置きながら僕が彼女をいさめるのだ。
「まってよギャルギャモ、様子がおかしいぜ」
「クピクピポゲ」
何かを思いついたかのような顔をし、ギャルギャモが自分のイヤリングを見せびらかす。
「あっそうだわ、宇宙翻訳装置・トランスレーションマシンがあるんだわ。これを使えばガンモガンモ語も一撃で翻訳できるってワケ」
ギャルギャモは右手のブレスレットを天高く掲げて叫ぶ。
「翻訳開始! ウォッー!」
「クピクピポゲ……クピクピポゲ……帰れ! よそもの」
「わぁ。本当に日本語になったぜ。べんりだなぁ」
「プギラポ・ピュピュピャピャパ……何名様ですか?」
「二名様よ」
ギャルギャモはダブルピースを繰り出す。
「ボゲ! ホゲボケ! グプラピゲボプガラドゲゲドゲゲ……お好きな席へどうぞ」
「ピパゴゲ・ダブパブパピ! ……お好きな席って言われてもなぁ。迷っちまうぜ、トホホホ。どうする? ギャルギャモ」
「テラス席にしましょう」
ギャルギャモはテラスのハンドサインを繰り出す。席に座りながら俺たちは注文ボタンを押した。
「ご注文は?」
「この銀河コーヒーってなにかしら? 知ってる? ジャンゴ?」
「知らないぜ。大方銀河のコーヒーってところだろうよ。ケッ」
「キヒヒヒ、ここはガキの来るところじゃねぇぜ」
突然後ろの席の鎧武者から声が聞こえたので俺は怒り狂いながら振り向いた。
「誰だ!」
「キヒヒヒ、ガキはミルクを飲んどれよ」
視線の先の鎧武者から声が聞こえる。
「誰だ!」
その時である。コバーッと爆発音とともに鎧武者が動き出したのだ!
「うわっ」
「それより見てジャンゴ! 鎧武者がひとりでに動き出したわ」
「げげっ鎧武者!」
「フハーハ我こそは毒キャット族最強の戦士、マーダータビーだ! お前を殺しに地獄から戻ってきたぜ」
鎧武者がひとりでにしゃべりだした。
「げげっ!」
「どこからでもかかってこい! こないからこちらからいくぞ!」
「おやめくださいお客様! 店の中で暴れられて迷惑するのはこの我々なのです!」
日本刀を持ったコーヒー屋さんの店員さんたちが続々と現れ、マーダータビーを取り囲む。
「こいつぁいいや! そのまま殺されちまいな!」
思わぬ助けに気をよくした僕は大笑いする。
「ふん、丸腰の店員さんたちが日本刀を持ったところでしょせん丸腰の店員さんたちよ!」
マーダーダビーは必殺のスパイラルサンダーを繰り出そうとしていた!
「ギャース! ギャース!」
「ウギャース!」
「ギャース!」
「くらえ! スパイラルサンダー!」
「ギャース!」
「ウギャース!」
コーヒー屋さんの店員たちはスパイラルサンダーの前になすすべもなく体を千個ずつに切り分けられてしまう。店員は百人いたので合計10万分割である。
「ジャンゴ! あの技は……」
ギャルギャモが知識をひけらかしたそうなので仕方なく尋ねる。
「ギャルギャモ、知ってるの?」
「あれは毒ガス流剣術の奥義よ。くらった相手の体を千分割することからついた技名がスパイラルサンダー」
「けっどんな技だって食らわなければ痛くもかゆくもないぜ!」
僕は偉そうに言いながら飛び上がった。
「それはどうかな! スパイラルサンダアーッ! げっ、よけやがっただと!」
「ガハハ、よけてやったぜ」
「しかしこれはどうかな! スパイラルサンダッァー! やったぁ、当たったぞ!」
「いってーっ」
俺の体が千個に切り分けられてしまう。それを見たギャルギャモは膝からがっくりと崩れ落ち一筋の涙を流したがすぐに元気を取り戻して笑顔で俺に叫んだ。
「ジャンゴーッあれを見るのよ!」
「あれは! よーし! ポイズンキャットよ、あれを見ろ!」
その視線の先には! なんと! 水の入ったペットボトル! しかも今日の天気はからっきし晴れ!
「グアーツあれがホントの猫除けペットボトル!」
ポイズンキャットが不利になったことで僕が有利になり体の傷が治った!
「ウオーッ有利になればこっちのものだぜ! 解毒ブーツ!」
僕のカイザーソードは先端がドリルになっている。これであの鎧を完全にゴナゴナにしてやるぞと意気込んで僕は腕まくりをする。そしてカイザーソードをポイズンキャットの体に押し当てながらずんずん進む。
「ギャース俺の体に穴が開いていく! しかしフハハジャンゴ! 俺の体をよくみな!」
「なにっ、あっ、げげーっ!」
「フハハやっと気づいたみたいだけどもう遅いわい!」
なんと鎧武者・ポイズンキャットの体は僕の3倍くらい大きかったのだ。こんなに大きい奴にいくら攻撃したところであまり効果はなさそうだ。
「うわっなんて大きい猫なの」
ギャルギャモがびっくりする。
「体が大きいため痛くもかゆくもないぜ」
「くそ、くそが! あ~あ。俺も体が大きければなぁ!」
「そんなこといったってお前の体はあまり大きくないからしょうがないぜーっ!」
「しかしお前はお前自身の弱点に気付いてないようだが?」
僕が痛いところをついたのにそれに気づかないマヌケなポイズンキャットは口をぽっかりあけ、オリジナルポーズをとる。
「ほえ?」
「お前は体が大きいうえ鎧を着ているのでスピードもジャンプ力もその重みにより大きく制限されるのさ!」
「うわァッゲゲーッ! そうだ、さっきからやけに体が重いと思ったら……」
「ケッ、ジャンプ力ではどうやら俺に分があるようだ! くらえジャンゴジャンプ!」
ビュビューと飛び上がってバッと体を大の字に開いてポイズンアックスを取り出す俺の姿がコーヒーグラスに反射して美しい!
「斧アタック!」
「くそ、俺もジャンプをせねば!」
焦るポイズンキャットをあざ笑うかのように俺は鶴のように大ジャンプを続ける。
「バ~カ! お前は重たいからジャンプはできない!」
得意げにジャンプを繰り返す俺をうらやましそうににらむポイズンキャット。
「フハハ、バカはお前だ! 頑張ってジャンプしてみせるぜ」
「そんなのダメだぜーッ!」
しかし、ポイズンキャットは突如ギュギューンと体をきりもみ回転させながら大ジャンプした。
「こいつぁいいや! 変に体がきりもみ回転するのでジャンプ力がパワーアップしたぜ」
「ダァーッすごいジャンプ力! なにくそ斧アタック!」
ポイズンキャットの鎧のお腹のあたりに斧で叩きやすいちょうどいい長方形の穴があったのでそこを攻撃した。見事命中! しかし斧は情けないほどズタボロに砕け散る。
「くそーっあいつの方がジャンプ力があるから斧が効かない!」
「グハハ、今度こそ死ね! スパイラルサンダー!」
「ケッ、芸のないことだぜ! 何度も馬鹿の一つ覚えのようにスパイラルサンダーか!」
悪態をつきながらも僕は体を千分割されてしまった。
「いってーっ」
「トドメの必殺技はもっとパワフルだぜっドラゴンプラズマ!」
襲い来るポイズンキャットの猫! ポイズンキャットの角には毒が塗ってある!
「いってーっ」
僕はぶっ飛んで店の壁に激突する。ゥズドーン!店の壁に一キロメートルくらいの亀裂が走る。
「いってーっ」
「けけっジャンゴの冒険はこれでおジャンゴってわけだ。ハハーハ!」
「まだ大丈夫だぜ!」
僕はふらふら立ち上がる。
「なんでだーッ! くそがッ! なんで生きてるんだジャンゴ! なぜだーッちぇっ」
舌打ちを繰り出すポイズンキャットがかわいそうなので僕は説明をしてやることにした。
「この店は南側の壁だけクッションでできているのさ。だから壁に激突してもふわふわなので助かったのだ」
「げーっなんて悪運の強い奴! こりゃかなわん、逃げるしかない! どけババア」
偶然近くにいたおばあちゃんを突き飛ばしてポイズンキャットが逃げ出す。
「うわっ、この猫がよ」
「逃がすか! スパークブーッ!」
僕が叫ぶとスパークブーツが起動する。スパークブーツを履いていると足の速さがマッハ5兆になるのだ。
「ギャーッすごいスピードだ!」
ポイズンキャットは腰を抜かして失禁した。抜けた腰をひったくる僕。腰のない奴の末路はいつの時代も同じだ。俺はパンチを百発お見舞いした。ポイズンキャットは粉状になって死んだ。
「やったわジャンゴ! 大したもんだ」
ギャルギャモが俺の頬に口づけをする。僕の顔が赤くなる。
「やっ、やめろよ……やめてくれーッ」
「し、しかし俺を倒しても……まだまだ他にも敵がくるんだぜ」
ポイズンキャットがゲボゲボ血を吐き散らしながら言う。
「なんだって? 敵って? 敵ってんだ?」
「フハハ、俺は魔界暗黒デビル四天王の中でも最弱……」
「そんな……こんなに弱い奴が」
「一番強いのはポイズンブラ将軍……彼はコブラ電撃を操るぜ。ガッデム虫は氷を、ガバブルビラは炎をあやつるぜ。惑星ジュンダモツにのみ存在する四天王の弱点・ギャンバークリスタルを持っていないお前に勝ち目はないぜ」
「なに? ハーデス星雲四天王とはなんだ!」
「馬鹿め、俺は誇り高きもののふ。あんな仲間のことは死んでも売らない!」
「このケチンボが! お前なんか死んでしまえ!」
僕はポイズンキャットの顔面を踏みつぶす。
「ギャース!」
ポイズンキャットはカーンと音を立てて死んだ。その音は正しく次なる戦いのゴングだった……。
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