96日目
生き物は、昨日気付いたことを反芻していた。
確かに数カ月前まで、生き物には友人がいなかった。
生きる意味は、自分を生かすため、少しでも長く生きて子孫を繫栄させる事だった。
感情の意味も分からなかった。
そんな生き物に急激に変化が訪れ、種族の違う仲間ができ、今一緒に生活している。
自由な猫とドラゴンは、気が付いたら探検に行っているが、またふらりと帰ってくるようになった。
これは「幸せ」だ。
生き物は手に入れた「幸せ」があまりにも脆く、あまりにも輝いていることに気が付いた。
そのことの尊さと恐ろしさを実感して震える生き物の肩を天使が小さく叩く。
「大丈夫」と囁きながら天使は生き物を抱きしめた。
こんなことをされたのは初めてだ。ぬくもりが温かく、柔らかい。
思わず涙腺が緩む生き物は、声を殺して小さく泣いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます