97日目
今日も谷の底はいい天気だ。
小川で釣竿を垂らす生き物の横で、天使がおっかなびっくり餌を針に刺している。
猫はというと朝からドラゴンと一緒に散歩に出かけて行った。
元気な二匹を見送って、今日の夕食を調達しようと小川に来たのだ。
わたわたしている天使の横で、ぽんぽん釣り上げる生き物の顔はどこか誇らしげに見える。
「すごいね」
素直に称賛する天使に鼻の下を擦りながら生き物はにっこりと笑った。
言葉は相変わらず伝わらないが、言っていることは分かるようになってきた。
「あんまり擦ると、人中の毛だけ薄くなっちゃうよ」
顔を見合わせて笑う天使と、生き物の間に口に大きな鹿を咥えたドラゴンと、誇らしそうな猫が顔を出した。
驚いた生き物の籠が川に転覆して釣った魚たちが逃げていく。
あーあ、と肩を落とす生き物に首を傾げる二匹を見て天使は「シュチュエーションを考えようね」と諭した。
今日は図らずしも鹿肉のステーキだ。
ハーブを摘んで帰路につく、生き物一行は楽しそうに列をなしていた。
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