30日目

歴代最高傑作の薬膳スープを見事にひっくり返した子ドラゴンを、睨みつけながら生き物はこのドラゴンの事を考えていた。

まだ体が随分と小さい。

恐らく親とはぐれた後、木々にぶつかる等して怪我を負ったのだろう。

傷の具合から数日でよくなるものと推測できるが、その後の扱いについてどうするか生き物は決めかねていた。

親ドラゴンが現れるのが一番良い解決策であるが、うっかり踏みつぶされたら元も子もない。

かといってこのまま飼いつづけてやれる程生き物の生活は豊かではない。

ドラゴンを飼うというのは危険が付きまとうのだ。

色々な生き物から狙われてしまう。

それは何とか避けなければと考えこんでいる生き物の足元にゴロンと横になり、子ドラゴンはお腹を見せた。

ますます猫のようだ。

考えるだけ時間の無駄だと割りきって、生き物はぽよぽよな子ドラゴンのお腹に顔を寄せた。


爬虫類の肌を触っているようだった。

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