第329話 レベルⅨへの試練は、『世界を救え』?
レベルⅧとなり、そろそろレベルⅩのスカレットとの対決が見えて来た頃。
俺は次のレベルⅨの試練に向けて、調整を行っていた。
試練の内容は、かなり壮大なモノだった。
その試験内容とは-----『世界を救え』であった。
----はぁ?
「いや、現在進行形でスカレットによって世界がヤバい方向になっているから、それをなんとかするためにレベルアップを積極的に行っているんだけれども?」
スカレットは、世界を侵略している。
そのスカレットと戦うには、レベルが足りない。
しかしレベルアップする条件は、世界を救え、である。
世界を侵略する魔王を倒すためにレベルアップしたいのに、その条件が魔王を倒すとは……。
そういうRPGがあったら、斬新と表現されるか、あるいはクソゲー扱いのどちらかだろう。
少なくとも、そんなRPG世界で普通に生きている俺としては、クソゲー扱い一択である。
「《ぴぴっ?》」
「あぁ、安心しろ、雪ん子ちゃん。ちょっと悩んでいるだけだから」
【鐘鳴らずの鬼神殿】にて、十二分にレベルアップした俺達……もとい、俺の召喚獣達と共に、俺は現在、【鏡合わせの盗掘】というダンジョンに来ていた。
このダンジョンは、登場する魔物が"本体"と"鏡像"の2種類がセットとして現れ、2体同時に撃破しなければ倒せず、なおかつ鏡像は本体と全く逆の性質を持っているのである。
つまり2種類の魔物の特性を瞬時に把握し、同時撃破しなければならないという複雑な構造を持つダンジョン。
それなのにも関わらず、出てくる魔物はレベルⅤ程度とかなり弱いため、俺達の仮のアジトとしている訳だ。
倒すのが厄介ということは他の冒険者が挑む可能性は少なく、スカレットの配下としてダンジョンを見回っている人達に見つかる危険性が少ないという意味だから。
「でも、これはどうすれば良いか検討がつかないなぁ」
なにせ、世界を救えと言われても、だったらこの世界を救って欲しいというモノである。
どうすれば良いのか分からないなぁ……。
その提案について、案を出してくれたのは、ココアであった。
「ふむっ、ならば本当に世界を救えば良いのではないかのう?」
「いや、そう簡単に言われても……」
「簡単な事じゃのう。世界を救わなければならないのならば、"救わなければならない世界"を探せば良いじゃろう?」
ココアの提案は、こうだ。
ダンジョンには様々な種類があるから、勇者の助けを必要とするような"救わなければならない世界"というようなダンジョンもあるんじゃないか、と。
そのダンジョンをクリアする、それが世界を救うという形になれば、この条件もクリアという扱いになるのではないか、と。
「あぁ! 可愛いボクの助けを待つ国、それを探せば良いんですね!」
「なるほど。その際は、その世界を侵略する魔王の攻撃は全て、こちらで引き受けグヘヘ……」
うちの召喚獣達も、それで良いと思っているようだ。
確かに、ダンジョンの中にはそういうタイプのダンジョンもありそうだ。
『世界を救え』というのは、"世界を救う事でクリアするダンジョンを見つけ出して攻略せよ"という、ココアの見方は正しいかもしれない。
一度、やってみる価値はあるだろう。
俺達はそう思い、とりあえず世界救済系のダンジョンを探すことにしたのであった。
(※)世界救済系ダンジョン
非常に大規模なダンジョンであり、その世界を滅ぼそうとする大魔王を倒すことを目的とするダンジョン。ダンジョンボスである大魔王以外にも、多くの配下がおり、その配下から特定のアイテムを手に入れる必要がある
一度クリアすると、『この世界は救われました』という扱いになり、大魔王は復活しない。また、このタイプのダンジョンボスである大魔王は、少なくとも第二形態以上の、戦闘形態を持つ事が多い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます