第313話 2体が固定化されたので、3体目を変化させようという話

 合一召喚獣とは、2体の召喚獣を組み合わせて、新たな1つの召喚獣として構築する召喚獣。


 紙の上に2つの大きな円を描いて、その2つの円を意図的に一部だけ重なるように配置----その2つの円が、ちょうど重ね合っている部分にいる召喚獣モノ

 2体の召喚獣を近距離に置くことで間に生まれた新種の召喚獣----それが、合一召喚獣である。


 融合召喚獣と違うのは『2つの円の一部を重ね合わせているだけである』という点だろう。


 融合召喚獣の場合は、2体以上の召喚獣をもう分離できないくらいにまで混ぜ合わせている。

 しかし、合一召喚獣の場合は2体の召喚獣をめちゃくちゃ近くに置いたらその間になんか出来た、みたいなモノなため、その2体の召喚獣を別の召喚獣に変える事で別の力を使う事が出来るのである。


 そして今、その合一召喚獣----悪国戦乱姫ヘミングウェイ・アーク。

 彼女は今、絶望スカレットのスキル【敵前調理ゲリドンサービス】によって、【戦天女アーク】と【冥界姫ラセツ】に強制的に変更、その上でその2つに固定されてしまっている。


 固定に使っているのは絶望スカレットの職業ジョブスキル、【悪党のゼリー】。

 ゼリーというお菓子は、ラテン語の「凍る、固まる」を意味する"ゲレgelare"というのが由来であり、この【悪党のゼリー】は包み込んだ相手を悪者として固めてしまう、悪意のゼリー。

 このスキルにより、ヘミングウェイは全身真っ黒な、陰のような姿となって、機械的にマルガリータに襲い掛かったという訳である。


 今のヘミングウェイは【戦天女アーク】と【冥界姫ラセツ】の合一召喚獣。

 その上に、悪意に満ちた【悪党のゼリー】が全身を覆っているという状況である。


 そして、そんな【悪党のゼリー】を対象として、マルガリータは【黄金の林檎・改】にて変化を与える。


 

 ----【戦天女アーク】と【冥界姫ラセツ】が変えられないのならば。

 ----悪者になるべく全身を覆う【悪党のゼリー】を変化させれば良い。

 


 そういうスタンスにて放たれた変化は、【悪党のゼリー】を変えていく。

 ただ悪者に固定するだけのスキルが、新たな召喚獣へと変えられる。


 新たな召喚獣には、名前はない。

 しかし、その召喚獣には役割はあった。



 ----【戦天女アーク】、そして【冥界姫ラセツ】。

 この組み合わせの合一召喚獣に干渉し、以前のような冴島渉の仲間に戻るように。



 【悪党のゼリー】が変化したことにより、ヘミングウェイの身体は大きな影響を受けて変化する。


 黒っぽい影のような姿から色が戻ると共に、ヘミングウェイの特徴たる左右で色が違うという特徴的な姿へと変わる。

 左半分は灰色の髪に王冠のような物を頭に被り、右半分は銀色の髪へとなる。

 そして左手には異様な雰囲気を放つ日本刀を、右手には宝石がはめ込まれた聖剣を手にしていた。



 ===== ===== =====

 【聖域武神姫ヘミングウェイ・ヴァルハラ】 合一召喚獣 ランク;ⅦーⅥーⅦ

 基ランク;レベルⅦ【戦天女アーク】ーレベルⅥ【冥界姫ラセツ】ーレベルⅦ【名もなき聖者】

 種族名;戦天女ウツロイ

 装備職業;聖堂騎士テンプルナイト/女傑/聖域の守護者

 攻撃力;SS+SS+1

 属性攻撃力;SS+S+1

 防御力;(SS)A+1

 素早さ; A+B+1

 賢さ;A+A+1

 >>攻撃力がSSを越えたため、特殊スキル【怪力】を取得しました

  >>攻撃力がSSを越えた、なおかつ【怪力】を取得しているため、特殊スキル【武神】を取得しました

 >>属性攻撃力がSSを越えたため、特殊スキル【魔術改変】を取得しました

 >>防御力がSSを越えたため、特殊スキル【金城鉄壁】を取得しました


 固有スキル;【戦乙女ワルキューレ】;ワルキューレと呼ばれる種族が持つ固有スキル。武器適正の1つをカンストさせる

      ;【芭蕉鉄扇】;全ての炎を消し去る芭蕉鉄扇を使うことが出来るようになります

      ;【深淵ノ剣】(NEW!!);世界の理に記された、完璧なる剣。全ての状況に応じて適切な剣を扱えるようになり、剣自体を状況に応じて適応させて変化させる

      ;【原初の罪】(NEW!!);世界が生まれた時にあった罪。そこには正義も悪もなく、ただ純然たる思想のみがあった。あらゆる精神攻撃を無効化します

      ;【ファミリー・スター】;自分と絆を持つファミリーが多ければ多いほど、魔力回復が速くなるスキル。体力などの回復も速くなります

      ;【私、盾になります!!】;相手の攻撃を強制的に自分に変える、盾職のスキル

      ;【冥界の姫】;冥界の姫の力。負のエネルギーを取り込むことにより、負のエネルギーを用いる相手以外の攻撃を全て半減させます

      ;【暗黒龍の血族】;暗黒の龍の力をその身に宿すスキル。龍と同等の力をその身に宿し、その身が触れる全ての力をゼロにします

      ;【快感は痛みから】;デメリットスキルの1つ。自分に感じる痛みを、全て快楽へと変えるスキル


 後天スキル;【聖堂騎士武術】(オーラ系統・プラーナ系統)(UPLOAD!!);四大力の1つである《オーラ》と《プラーナ》を扱う技術。身体を強化する《オーラ》の力を、《プラーナ》の力と併用する事によって、限界を越えながらも扱う術を手に入れた

      ;【幻想暗黒龍武術】(マナ系統・スピリット系統)(UPLOAD!!);四大力の1つである《マナ》と《スピリット》を扱う技術。自らの身体に眠る暗黒龍、そして自らの頭に生み出した幻想龍の2つの龍を合わせる事により、現実改変させての敵への戦闘武術が可能となる

      ;【女傑】(オーバーロード系統);四大力の全ての上位互換たる《オーバーロード》を扱う技術。全ての攻撃がクリティカルとなり、対神などの全ての敵に対する特攻能力を持ちます

      ;【武神】(NEW!!);【怪力】を越えた、無敵の攻撃スキル。味方の攻撃力を上げつつ、自身は味方の攻撃力を全て足した数値の攻撃力を得る

      ;【魔術改変】(NEW!!);魔術式を改変し、独自の魔術として改変する。また、相手の魔術式を改変して、魔術を使えるようにしたり、永遠に魔術を使えなくする事も可能

      ;【金城鉄壁】;非常に硬く、守りが硬くなる上、味方の弱点ダメージを半減させます

      ;【ジーニアス・マッチ】(UPLOAD!!);ベストマッチを越える、究極のスキル。守る者が多ければ多いほど力が増し、戦場を支配できるようになる

      ;【戦天女アーク】(NEW!!);「管理」を扱う戦天女のスキル。全能力が向上されます

      ;【妖怪の羅刹女】;伝説の妖妃たる鉄扇公主の力を得るスキル。羅刹女のスキルが使えるようになります




 【聖域武神姫ヘミングウェイ・ヴァルハラ】 合一召喚獣 ランク;ⅦーⅥーⅦ

 ワルキューレと、妖怪系の召喚獣、とある召喚獣の合計3体を、召喚獣を1体の召喚獣として魂を合わされた、合一召喚獣の一種。基となったのは、レベルⅦ【戦天女アーク】とレベルⅥ【冥界姫ラセツ】とレベルⅥ【名もなき聖者】

 騎士道に憧れる少女であり、本性はドM。かなり癖が強めのドM。【召喚士】としての能力を用いて、自身の姿を交換することで様々な力を行使できたが、それが不可能となったため、あらゆる力を行使できる無限の力を持つ無限竜の力を持つ【名もなき聖者】の力を得た

 ヘミングウェイとは、カクテルの一種であり、カクテル言葉は『未知なる力』

 ※現在、絶望スカレットの能力によって、【戦天女ディノ】【冥界姫ラセツ】に強制変更されております

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「あれ、ここは……? マルガリータ、さん?」


 無事にこちらを分かってくれた、正気を取り戻したヘミングウェイを見て、マルガリータは安堵するのであった。




(※)【名もなき聖者】

 基は【悪党のゼリー】というただのスキルを、マルガリータがスキルを用いて変化させた召喚獣。レベルはⅦ相当であるが、基がスキルからの変化であるため、普通に召喚する事は出来ない

 経歴や来歴などもなく、ただ「姿を固定されたヘミングウェイをなんとかする力を持つ召喚獣」という形になっているため、名前などない

 能力は、【未知】の具現化。無から有を生み出す力で、頭の中の妄想をノーコストにて呼び出し、自らの力と変えることが出来る


(※)【ジーニアス・マッチ】

 ベストマッチを越える、究極の同一化を果たした事で得られたスキル。本来、2体の召喚獣の相性が良い場合に発動する【ベストマッチ】であるが、3体目がそれをさらに相性を良くした結果、100%以上の力を発揮できるようになった

 "ジーニアス"とは「天才」という意味だけではなく、語源であるラテン語では「守護者」という意味もあり、その結果、守る者が多い程力を増すスキルとなった

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