第308話 マルガリータは進化した

 【アバトゥワの塔】の攻略後、ファイントはマルガリータに介入して、マルガリータを進化させようとした。

 これはマルガリータの進化先をファイントなりに判断し、冴島渉の力になる最適解の進化先を選んだのである。


 ファイントはこの時、気付かなかった。

 まさかその後に、ファイントとは別の何者かが、マルガリータの進化に介入していただなんて。




 そのせいで、ファイントの想定外の出来事が起きてしまった。

 ファイントの想定では、ファイントを『燭陰しょくいん』へと進化させて、冴島渉の力にするつもりだった。


 燭陰しょくいんとは、古代中国に伝わる最強のドラゴン。

 目を開くと辺りは明るくなり、目を閉じると辺りは暗くなる。

 息を吸うと夏となり、息を吐くと冬になるなど、たった1匹のドラゴンで季節そのものを司る最強のドラゴンである。


 ファイントはその強力な力を得られるように、強力な進化先になるように、【破滅の女ファム・ファタル】と【沸かせる英雄ザ・アイドル】を使って進化するように、調整したつもりであった。

 【復讐姫ロクセラーナ】という、明らかに冴島渉にとって不利になりすぎるスキルを発現するつもりは一切なかった。


 ファイントがしっかりと整えたモノを、"別の何者か"がぐちゃぐちゃに介入した。

 ファイントが丁寧に整えたモノを、【復讐姫ロクセラーナ】のスキルを得る進化先になるよう、ぐっちゃぐっちゃにしてしまった。


 そして、ぐっちゃぐっちゃにしてしまったモノに、冴島渉が介入した結果、マルガリータはまた別の進化先に向かおうとしていた。




 ===== ===== =====

 『悪癖龍マルガリータ』と スキル【外への憧れ】が干渉し 進化を開始します


 …… …… ……

 …… ……

 ……


 進化が 完了しました


 ……

 …… ……

 …… …… ……



 【悪癖龍マルガリータ】は 【魔黄金龍マルガリータ・ラードン】へと 進化しました




 …… …… ……


 【魔黄金龍マルガリータ・ラードン】 ランク;Ⅶ☆☆☆+1

 個体レベル;1

 装備職業;杖使い/守護龍

 攻撃力;A+103→SS+153

 属性攻撃力;SS+43→(SS)D+93

 防御力;S+63→(SS)D+113

 素早さ;A+73→SS+123

 賢さ;S+43→(SS)D+93

 >>攻撃力がSSを越えたため、特殊スキル【怪力】を取得しました

 >>属性攻撃力がSSを越えたため、特殊スキル【魔術改変】を取得しました

 >>防御力がSSを越えたため、特殊スキル【金城鉄壁】を取得しました

 >>素早さがSSを越えたため、特殊スキル【韋駄天】を取得しました

 >>賢さがSSを越えたため、特殊スキル【天災思考】を取得しました

 >>【怪力】【魔術改変】【根性鉄壁】【韋駄天】【天災思考】を取得したため、特殊スキル【理の改変】を取得しました


 固有スキル;【悪癖音波】;悪癖龍が持つ特殊な音波。魔力を込めると、放った言葉が実際の形となって相手にダメージを与える事が出来る

      ;【ドラゴンパワー】;ドラゴンの力により、全ての攻撃が強力となります

      ;【ファミリー・スター】;自分と絆を持つファミリーが多ければ多いほど、魔力回復が速くなるスキル。体力などの回復も速くなります

      ;【異界の龍アルタードラゴン】;ダンジョンに介入し、別のダンジョンから力を奪う特殊なドラゴンの力。介入できるダンジョンはランクが上でも可能。介入できる距離があるため、あまり遠くのダンジョンの力を奪う事は出来ない

      ;【百頭のドラゴン】(NEW!!);百の頭を持つラードンの力。同時にいくつものことを並列で考えることが出来る

      ;【眠らずのラードン】(NEW!!);黄金の林檎を守り続けるラードンが持つ力。眠りを必要とせず、常に生命力が満ち満ちており、体力が常時回復する

      ;【黄金の林檎・改】(NEW!!);ラードンが守っていた黄金の林檎を、こっそりと食べてきた結果として得たスキル。黄金の林檎を作り出し、その黄金の林檎を食べる事で年齢やスタイルを自由自在に変化することが出来る

      ;【物語の王アナンシ】;この世の全ての物語はアナンシへと帰結する、アナンシの固有能力。伝承や伝説を持つ相手に対して特攻能力を持ち、彼女と仲間の攻撃は全て特攻能力として相手に与えることができる

    ;【アルター・フェザー】悪癖龍マルガリータが出した、異次元の力を纏った龍の羽。彼女の翼から離れた羽がなにかにぶつかると、その物と共に異次元へと帰っていく特殊な羽

      ;【悪癖龍魔法】悪癖龍マルガリータのみが使える魔法。半古代龍魔法をマルガリータなりにアレンジした魔法であり、この魔法に当たった全ての物は、異次元から来たエネルギーに複雑に絡み合い、そしてそれぞれの世界へ持っていかれる。身体が複数の色々な世界に持っていかれるため、召喚獣や魔物であろうとも、この魔法を喰らった場合、二度と元の姿には戻れない

      ;【アルビノ・アイドル】;白い髪と赤い瞳を持つアイドルの容姿関連スキル。レア個体として、レアスキルを獲得できる確率が高くなり、全ての攻撃に敵を魅了する【魅了】を付与する



 後天スキル;【ドラゴニック杖術】(マナ系統);四大力の1つである《マナ》を扱う杖術。杖を持つ場合、杖から出る《マナ》を用いた攻撃の全てに補正効果がつきます。また、杖を扱う際に補正効果がかかるだけでなく、ドラゴンとしての強力な能力付与が付きます

      ;【二人三脚】;自分と体力をもう1人の相手と共有するスキル。対象;《悪の手先》吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世

      ;【龍眼】;敵の中で一番、魔法防御力が高い敵の防御力を10%まで下げる

      ;【守護龍の加護】(NEW!!);ドラゴンが持つ守護の力。あらゆる攻撃を半減させます

      ;【魅惑のトップアイドル!!】;自分の仲間全員のステータスを5%上昇させる、ただし相手に狙われやすくなる

      ;【海の美声セイレーン】;ギリシャ神話に登場する、美しい人魚セイレーンを模したスキル。息を吸った時間と量に応じて、対象を自らのコンサート会場、自身の声が聴ける場所に招待する。招待された者達はスキル発動中、コンサート会場から出る事が出来ない

      ;【ミステリアスドラゴン】;自分の体内で作り出した、特殊な黒い霧を放つスキル。霧を纏っている間、防御力が極端に減少するが、相手から狙われなくなる。また、この状態の時の攻撃はいつもの3倍の威力となる

      ;【抑えられない……この輝き♪】;自分のカリスマ的アイドルオーラを輝かせて、相手に自身を狙わせるスキル。このスキルを使うと相手からの攻撃に狙われやすくなり、また【魅了】の状態異常にかけやすくする

      ;【理の改変】(NEW!!);全てのステータスがSS以上を越えた証のようなスキル。その存在は世界の全てを知る書物であるアカシックレコードに記され、理を越えた力を得ることが出来る



 【魔黄金龍マルガリータ・ラードン】 ランク;Ⅶ☆☆☆(レベルⅦ相当、および融合召喚獣☆☆☆相当)

 悪癖龍マルガリータが、黄金の林檎を不眠不休で守り続けたラードンの力を得た進化体。睡眠ねむりから解放され、その黄金の林檎をこっそりと食べて力を得ていた悪竜

 黄金の林檎を食べ続けた事により年齢を超越してしまって自由自在にスタイルや年齢を操作し、あらゆるところに自身の口を生み出して全てを魅了する音のブレスを吐くことができる

 守護龍の力も有しており、守護する対象を1つだけ選んでそのモノを、自分の守護対象とする

 ===== ===== =====




 このようにして、マルガリータは進化する。

 ファイントが予測してない方向に、"別の何者か"の思惑とは外れ、冴島渉も知らないうちに。


 また新たな、強靭なる召喚獣がこの世界に生まれようとしていたのであった----。

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