第264話 ココアVSブイオー

『なんでじゃあああああ!! なんで狐の尻尾も増えておるんじゃああああ!!』


 ココアのその悲痛な叫びは、彼女を探していたブイオー達にも届いていた。


「----あぁ、上に逃げていましたか」


 ブイオーは声の反響具合から、お目当ての敵さんの居場所を感知した。


「てっきり下に逃げているかと思っていたら、上に逃げてるのかぁ。

 ----まぁ、時間が欲しかったのはこちらもだから、良いんだけど」


 ブイオーはそう言って、自らの軍団に向き合う。

 ブイオーへと変えた5体の人造兵器ボウケンシャ達、そして雪ん子と向き合う。


 スキル【悲嘆の刃】によって、ブイオーへと変えられた6人。

 人造兵器ボウケンシャ達はもう完全にブイオーへと変えられ切っており、もう完全に同化が完了していると言って良いだろう。


 雪ん子に関しては、ほとんど前とは変えていない。

 エルフ耳に変えた事、そして背中に自分と同じサンダーバードを思わせる大きな鳥の翼に変えさせた所以外は、ほとんど雪ん子の姿と変えていない。

 これは敢えて同化を進めていないのであり、この雪ん子の姿の方が、ココアにはダメージと、人質となるだろう。


「そして、ココアをぶっ殺す! それこそが私の目的、私の生き甲斐なのだから!」


 そう、『吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世をぶっ殺す』。

 この目的こそが私、【災害】担当となったブイオーの生きる目的。

 "それ・・"こそが、この私の目的なのであり、それ以外はどうでも良いのだから。


「(昔は、"マスター"を支えるという崇高な目的があったけど……何故か、そう考えようとすると、頭が痛むんですよね)」


 今のブイオーにとって、重要なのはココアを殺す事。それだけ。


 そう考えると楽しくてしょうがなくて、心に勇気が湧いてきて、やりたくてやりたくてしょうがない。

 それ以外を考えようとすると、頭がズキズキと痛んで、それをやりたくなくなる。


「----あぁ、ココアを殺す殺す殺す! そう考えれば考えるほど、ワクワクして溜まらないなぁ~!!」


 ココアを殺すことを楽しみに、6人のブイオー達を引き連れて、ココアを殺しに飛んで向かうのであった。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「----なんでじゃあああ! 吸血鬼の王の力を受け継いだのに、尻尾が増えてるんじゃあああ!!」


 ココアは絶叫していた。


 俺はココアに夜魔ヴァンパイア・キングの核を融合させて、新たな姿へと、吸血女帝ココア・ガールハント・ヒアリングへと進化した。

 そしてココアは吸血鬼の王としての地位を授かり、さらに尻尾がさらに9本の九尾の姿となっていた。


「なんでじゃあ! 妾は吸血鬼の王の力を得て、ようやく妖狐の呪縛から逃れられると思ったのに!

 なんで尻尾も増えておるんじゃよおおお!!」

「(まぁ……ココアにとって、尻尾が増えるのは嫌な事だしな)」


 ココアは、吸血鬼に誇りを持っている。

 だからこそ、狐の尻尾が増えるという、妖狐らしさが増える事は彼女にとってはマイナスの事なのだ。


「えぇい、文句や愚痴を垂れ流したい所じゃが、それは後回しじゃな!」


 ココアが言うように、俺達になにか文句とかを言っている時間はないらしい。



「見つけたぞ、我が因縁の宿敵ココアよ」



 ----パリンッ!!


 窓が割れて、ブイオー達が入って来る。

 その中にはもちろん、雪ん子の姿もあり----



「宿敵ココアよ。さぁ、もう一度歌い殺す時間です」

「妾の家族、雪ん子を返してもらうのじゃ。このボタン狂いの、地獄帰り女め」


 そして、ブイオー達とココアの戦いが始まるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る