第260話 災害の倒し方(1)
~~前回までの あらすじ!!!~~
雪ん子とファイントと一緒に、【街】所属のスカレットと戦う冴島渉。
スカレットの同行者たる《ペンライト》小鬼により、ファイントは状態異常とステータス上昇を封じられてしまう。
そして、3体の人造兵器ボウケンシャを召喚したスカレットはさらに驚愕の真実を告げる。
----ルトナウムとは、空海大地がこの世界に戻って来る際に生み出されたアイテム。
空海大地が生み出した、世界の亀裂に巻き込まれた人間達の魂と身体が、液体状となって生まれたモノである、と。
スカレットは床を落として、冴島渉たちは下のフロアに落とされるのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「……雪ん子、大丈夫か?」
「《ピピィ……大丈夫、だよ?》」
落とされた俺は、同じく落とされた雪ん子に声をかけて立ち上がる。
同じように落とされたはずのファイント、そしてスカレットや《ペンライト》小鬼の姿はなかった。
分断された……いや、雪ん子とファイントの距離は近かったし、意図的に分断されたとみるべきだろう。
「で、俺達の敵はアイツらって事か」
俺と雪ん子は、スカレットが俺達を倒すために用意したであろう人造兵器ボウケンシャを見る。
敵の数は5体、鋼鉄の人型兵器たちは武器を構えてこちらを睨みつける。
「雪ん子のようにレベルアップする兵器……」
考えた事は、勿論あった。
自分だけが、レベルアップという
しかしながら、スカレットの話が正しければ、ルトナウムさえあれば、どんな人間であろうとも、それこそ【召喚士】でなくても、レベルアップする召喚獣が作れるという事だろう。
俺が他の人間よりも優れたところがあるとしたら、レベルアップする召喚獣を制御するスキル【召喚 レベルアップ可能】があるくらい、だろうか。
「(なんか、俺の価値って全然ないかもだな)」
「《ピピッ! 主、倒すね! 倒すね!》」
雪ん子はそう言って、剣を片手に人造兵器ボウケンシャ達の群れに向かっていく。
「主殿?! 何故ここに居るんじゃ?!」
雪ん子の姿を見ている俺に、何故かここに居るココアが話しかける。
……えっ?! マジで、なんで居るの?!
ココアを探しに行った、マルガリータとヘミングウェイの姿はない。
どうやら2人は、別の方を探しに行っているようだ。
そりゃまぁ、真下のフロアに、お目当ての人物がいるだなんて、普通は考えないからね。
「----というか、アイツは何?!」
俺はココアを見つめるその敵を見て、驚いていた。
その敵さんは、ボタンの瞳を持つ、金髪エルフ耳の修道服女。
右袖の腕章に書かれている【災害】という不穏な文字よりも、右袖の腕章の文字が俺は気になった。
----【甘言】。
「(甘言、だと?)
……似ている。
【甘言】という文字に、ボタン瞳という物凄い特徴的な姿。
彼女は似ている。
あの俺達が倒した、シーヴィーという敵に。
「ココア、あいつは----」
「シーヴィーじゃよ、主殿。恐ろしい事に、あやつ、蘇っておるみたいじゃ」
「なるほど……」
ココアが居なかった理由に、説明がついた。
そりゃあ確かに、あのシーヴィーだったら、ココアをさらうだろう。
「今の名前は、【街】所属の【災害】担当、ブイオーと名乗ってるんですけどね。
----そして、蘇ったという表現は正しくはない」
シーヴィー、いやブイオーはそう言うと、背中から大きな鳥の翼を出していた。
「今の私は、
大きな鳥の翼からビリビリとした雷が生まれたかと思うと、その雷が周囲に居た人造兵器ボウケンシャ達に降り注ぐ。
仲間割れかと思ったが、雷に打たれた人造兵器ボウケンシャの姿が変わっていく。
----そう、目の前のブイオーの姿へと。
「「「「「災害は常に、相手へと襲い来る」」」」」
「そう、例えばこのように----」
ブイオーは、さらに大きな鳥の翼を羽ばたかせる。
先程と同じく、翼から雷が出たかと思うと、その雷は----
「《----ぴぴっ?!》」
「----誰にでも、災害は訪れる」
そして、雷は雪ん子に落ち。
「《災害ぴぴっ……》」
「職業スキル【悲嘆の刃】。私の雷は、全てに降り注ぎ、降り注いだ相手を全てブイオーへ変える。
----さぁ、あなた達には使ってあげないから、勝負と参りましょう」
ブイオーは、全部で7人となって、俺とココアに襲い掛かる。
そのうちの1人は、ボタン瞳となって、背中に大きな翼を持つ"雪ん子"であった。
「「「さぁ、もう一度歌い殺す時間です」」」
(※)【悲嘆の刃】
災害ブイオーが使った職業スキルの1つ。雷を相手に降り注ぐことによって、相手を自分自身へと変えるスキル
強力なスキルであると同時に、自分自身に変えた相手のダメージも全て自らに受けなければならないというデメリットもある。しかしそれを除けば、無限に自分を作り出して、敵を攻撃することが出来るスキルである
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