第37話 岡本・S・太郎(3)
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敵の 召喚獣3体に対し 【浄化の泉】を 使用いたします
召喚獣2体に かかっていた 蜃による "悪意の霧"状態を 治します
蜃の体内の 微量な毒素を 治します
瘴気が 消えていきます
【悪意の霧】
蜃が生み出す特殊な霧の1つで、蜃の体内で生成される微量な毒素の霧
生物の体内に入ることで蜃の敵を滅ぼす瘴気となる
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「《あれ……?》」
「うわぁーお! なんだか身体のイヤーな感じが無くなっちゃいましたよ! これなら、ぜーんぜん、ダイジョーブ!」
敵の3体の召喚獣に使った【浄化の泉】は、無事にその効果を発動したみたいである。
雪ん子とファイントの2人は、調子を取り戻したらしく、気合十分だ。
「やはり、岡本・S・太郎の戦術は、瘴気による戦術だったのか」
瘴気とは、病気を引き起こすとされていた"悪い空気"である。
めちゃくちゃ小さな細菌を見る事が出来なかった時代、病気は悪い空気、すなわち瘴気が原因とされていた。
悪い空気が原因だから、祈祷だとか神頼みとかで清めようとしていた。
今では勿論違うことは現代医学が証明しているが、岡本・S・太郎はその瘴気を使って、俺達に攻撃してきたのだ。
蜃が吐いていたのはただの水蒸気ではなく、俺達のみに通じる瘴気による霧だったのだ。
恐らく、岡本・S・太郎の作戦は、こうだ。
まず初めに、岡本太郎という「芸術は爆発だ!」という言葉で、自分の攻撃手段は爆発だと思わせる。
しかしながら、本当の攻撃手段は、蜃による呪いの霧----瘴気による攻撃。
そういう戦闘方法なのだろう。
ばくだんいわの役割は、自身を爆発させて、瘴気を広げる事だったのだ。
あのばくだんいわはただのフェイクで、ヤツの戦術で一番重要なのは蜃だったのだ。
でもまぁ、瘴気の発生原因である蜃、それに瘴気に感染してるだろうばくだんいわも浄化しておいた。
【浄化の泉】によって解いた以上、これ以上瘴気によるダメージはない。
そして、その攻撃を封じた以上、圧倒的たるレベル差で上回るこちらが、断然有利!
「----でも、他に戦う手段があるんだろう?」
既に岡本・S・太郎は、次の戦略を発動していた。
「芸術は、爆発だ! だが、爆発だけが、芸術じゃなぁぁぁぁい!!!」
カパッと、蜃が、その二枚貝の口を大きく開けると、中から白い靄が出てくる。
先程の動き回るための水蒸気ではない、それとは別種の、濃厚な霧のような物。
蜃が出した白い靄は、2体のばくだんいわを飲み込んでいき、1つの姿へと変形していく。
それは、甲冑。
血を思わせる赤い甲冑で全身を覆い、その手には長い薙刀を手にしている。
顔のところから覗き見えるばくだんいわの瞳だけが、不気味な形相を作っていた。
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【
騎士の姿を映しとった、霧の騎士。力ある者の靄の能力により、騎士としての身体と、その力を与えられた
甲冑の中身であるばくだんいわの使用能力により、全ての攻撃に爆破能力が付与されている
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ばくだんいわ改め、【幻影の騎士】となった2体の元ばくだんいわは、薙刀をこちらへと向けていた。
「爆発の次の芸術! それは武芸! 完成された武芸は、人々を魅了する、まさに芸術なりぃぃぃぃ!」
----なるほど、これが岡本・S・太郎の、爆発以外の戦術か。
「(爆発が防がれようとも、霧によって騎士の強さを与えて、別の戦術を行う。
やっぱり先輩として、色々と学ぶべきところが多いぜ)」
【幻影の騎士】のレベルは、"Ⅰ+Ⅰ"。
レベルⅡではなく、こんな変な表記になっているのは、甲冑部分である【幻影の騎士】が、【ばくだんいわ】を包んでいるからだろうか。
さて、コイツの強さ。
どれほどの物か、俺の召喚獣と力比べと行こうじゃないか。
「雪ん子、ファイント。2人の無双っぷりを、あの騎士に見せてやれ!」
「《了解っ!》」
「うーん! わたし、すっごく頑張っちゃうんだからね! そりゃあもう、あまりの強さにご主人の感動するのは、まず間違いなくですねー!」
さーて、瘴気作戦の次に来た、物理的な力を重視しての戦闘。
ここを乗り越えて、レベルⅡになってやるぜ!
おっしゃあー! 俺も【優しい木こりの鞭】で、バフによる強化をしまくってやる!
さぁ、岡本・S・太郎。
第2ラウンドの、始まりだぜ!
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