第11話 入念なる戦闘準備!

 ----レベルⅡ、【梟熊アウルベアー】。

 この魔物は前回倒した【木こりの地縛霊】とは違い、ちゃんとした攻略法がない、強敵である。



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 【梟熊アウルベアー】 レベル;Ⅱ 《魔獣の狩場山》ボス魔物

 その名の通り、梟の顔と熊の身体を持つ、野生の合成獣キマイラ。全身を焦げ茶色の厚い毛皮に覆われている

 熊を思わせる屈強な腕力攻撃を得意とし、自由自在に回る梟の首を持つ

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 アウルベアーは、熊を思わせる超怪力、そして梟を思わせる回転する首----その2種類の動物の長所を掛け合わせたような魔物だ。

 死角から襲おうとしても、自由に回る首は後ろでも目を見開いて見て対処する事が出来るし、なにより怪力の腕に掴まれたら、俺なんかじゃ一溜りもないだろう。


 弱点も特になく、ただただ実力で倒すしかない魔物。

 当然ながら、レベルⅠしか召喚出来ない【召喚士】である俺が、倒せるはずもない、普通に強敵だ。


「(でも、もし仮に倒せたら----レベルアップできる俺だけの召喚獣が倒せたら、話が変わってくる)」


 俺は、雪ん子のステータスを再び確認する。



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 【雪ん子】 レベル;Ⅰ+06

 個体レベル;06

 攻撃力;F+1

 属性攻撃力;F+12

 防御力;F+1

 素早さ;F+2

 賢さ;D+16


 固有スキル;【氷結の申し子】;全ての攻撃に対し、氷属性を付与する

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 【転がす草タンブルウィード】では、やはりもうレベルは上がり辛いらしい。

 このボスの間の前に来るまで大量に倒したが、レベルは1つも上がってなかった。

 だから、この《+06》という、俺の召喚獣にだけあるレベル表記がどうなのかという話だ。


 単にレベルⅠよりもほんの少し強い程度の、レベルⅡには絶対勝てない運命の中の強さなのか。

 それとも、レベルⅡの魔物でも、倒せるぐらいの強さなのか。


 それを今、アウルベアーを通して、見極める。


「よし、雪ん子。作戦はさっき話した通りだ、理解したか?」

「ピィ! ピピッ!」


 別にそれほど、大した作戦ではない。

 どちらがアウルベアーの注意を引き、どちらが止めを刺すかという話だ。


 今回は、俺がアウルベアーの注意を引いて、雪ん子にはダメージを与えてもらおうという戦法で行こうと思っている。

 そのためには、俺がちゃんと注意を引かなければならないから、そのために必要な召喚獣を召喚した。



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 【ベビーキマイラ】 レベル;Ⅰ


 攻撃力;F

 属性攻撃力;F

 防御力;F

 素早さ;E

 賢さ;F

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 人懐っこそうな、可愛らしいライオンの子供。

 元勇者系MyTuberのマイマインが、使える召喚獣第1位として紹介していたベビーキマイラである。


 召喚すると共に、僕の足元に現れたベビーキマイラは、すりすりと足にすり寄って来る。

 僕はベビーキマイラの頭を撫でながら、その背に跨る。


「おー! よしよし、よしっ! ベビーキマイラ、今回は頼むぞ、お前の足が頼りだからな」

「ガァオ!」


 こいつは俺なんかを上に乗せても、馬と同じくらい早く走る召喚獣。

 今からベビーキマイラの背に乗って、俺はアウルベアーの目の前で攪乱する作戦だ。


 アウルベアーは首を回転させることが出来るから死角はないが、流石に片方が攪乱している中で、もう片方の方も同時に見る事は出来ぬだろう。

 その隙に、雪ん子の力を使って、アウルベアーを氷漬けにさせるのである。


「良いか、雪ん子。お前はアウルベアーに気付かれないように、この《獣狩りの剣》で突き刺せ」

「ピピィッ!」


 俺は、雪ん子に《獣狩りの剣》という武器を与えておく。

 これは獣属性(※1)の敵に対して、特攻効果を持つ剣である。



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 【雪ん子】 レベル;Ⅰ+06

 個体レベル;06

 攻撃力;F+1

 属性攻撃力;F+12

 防御力;F+1

 素早さ;F+2

 賢さ;D+16


 武器;《獣狩りの剣》;相手が獣属性の場合、攻撃力上昇。また獣属性の相手の攻撃力減少

 固有スキル;【氷結の申し子】;全ての攻撃に対し、氷属性を付与する

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 この《獣狩りの剣》は、獣属性----つまりはアウルベアーが相手なら攻撃力を上げる事が出来る。

 その上、アウルベアーは《獣狩りの剣》がある限り、攻撃力が常に減少するというおまけ付き。

 まぁ、ベビーキマイラも獣属性なため、ベビーキマイラの攻撃力も弱くなってしまうのだが、今必要なのはこいつの素早さだけだから問題はない。

 

 《獣狩りの剣》は相手が獣なら、これ以上ないくらいの特攻武器である。

 その分、かなり値が張るため、俺がここ3か月くらいに必死に集めたお金がゼロになってしまったが。


「(今まで使わせなかったのは、この剣を持たせていると、獣属性以外に弱くなるという隠し効果があるからだ。ただ【転がす草】と戦うだけなら、この剣は必要ないからな)」


 とは言え、アウルベアー戦においては、これが切札になるだろう。


「よし、行くぞ!」

「ガウガウ!」

「ピィピィ!」


 俺はベビーキマイラに跨り、雪ん子を連れて、ボスのいる間に入った。






(※1)獣属性

 種族の1つで、獣を表す属性。地球で言う所の動物のような姿形をしており、火属性や氷属性に弱く、風属性や闇属性などに強い

 ほとんどの場合、武器を持てない代わりに、肉弾戦の威力が高いという特徴を持つ

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