第5話 怪

 3つみつの子の異変は

 瞬く間に土地に広がった

 な事だと

 眉間にしわを寄せる民


 土地長とちおさが再び

 母の前に現れた


3つみつの子の一人を選べ」


 あの時にと後悔を含んだ

 強制の言葉であった

 だがしかし

 母は一言


「選ばぬ」


 伝統と土地の者を守らねばならぬと

 今にも血管が切れそうなほど

 長は憤慨ふんがいしていた


 さすれども

 母はこの上なく涼しい顔をして


「選ばぬ

 3つみつ3つみつ


 そう言うと

 おさを帰らせた

 外の風は止んでいた

 3つみつの子は庭で鬼ごっこに興ずるのであった


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