第4話 舞えど

3つみつの子らが土地神の満足する舞を行える日まで

母の舞は終わらない

3つみつの子らに舞を伝承する

それが母に課せられた宿命である


3つみつの子らは来る日も来る日も

舞を見 舞を聴いた

扇に触れ 開き閉じた

その一つ一つが母の喜びであった


ある日

3つみつの子らの扇を持つ右腕の

に 母は気づいた


日を追うごとに

その

くっきりと目視できた


1姫いちひめの右腕には岩が連なり

2姫にひめの右腕にはすすきが揺れ

3姫さんひめの右腕には水が湧く


みつつの子らはそれらを

気にするでもなく

むしろ

でるのであった


母はその年も

大雷おおなりの日に

舞うのであった

民の為ではなく


子らの為に


亡き夫にそばにいて欲しい


叶うはずもない思いを

舞に託すのであった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る