第6話 意

3つみつの子らはすこやかであった

それと比例するかのように

それぞれの右腕の有様ありさま

つやめいていた


3つみつの子らがよわい12となり

母は大切な話があると

大広間に座った

お前達と父の話である と


舞う女にとって大事だいじ

舞う事 産む事 はぐくむ事

毎年必ず大雷おおなりの日に舞わねばならない

ただ一生のうち一度 舞えない年がある


それはである

その年に舞ってはいけない

舞えば女児を授かる事ができない

古来より受け継がれた約束は

守り抜かなければならない


そしてに起こるであろう

一切の病を引き受けて

舞う女の夫は1年を経たず

我が子を見た日に死ぬのである


伏せた目に一縷いちるの涙


3つみつの子らは立ち上がり

母の背中をさするような

亡き父のぬくもりを探すかのような

そのような舞をするのであった


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