浅川視点〜透クンと水野クン
「浅川さん、今度一緒に呑みに行かない?」
「は!?」
驚いて思わず聞き返してしまう。
…透クン何言ってるんだろう。
まさかこの前のことをもう忘れたわけじゃああるまいし…。
「あの…浅川さんと仲良くなりたいって真実が…。」
…真実…?
透クンの友達って言ったらあのイケメンメガネクンくらいしか…。
「その子ってメガネの?」
「うん。…ダメ?」
…むしろイケメンくんだったので大歓迎…したいところだったが正直あのメガネクンには透クンを盗られた気分になっていたので素直に聞く気になれなかった。
「…どうしよっかな…。」
「…お願いっ」
透クンが真剣に手を合わせるので可愛くって仕方なかった。
「いいけど…でももし透クンに彼女出来たら絶対私に紹介してくれる?」
「…う~ん。いいけどそんなのいつになるか分からないよ?ずっとそんな日来ないかもしれないし。」
困ったように笑う透クンの顔を見ていると切なくなってしまう。
「…それでもいいからっ!約束ねっ★」
★
「水野 真実です。透とは最近仲良くなって…。」
目の前には何故か嬉しそうな透クンとかしこまっているイケメンメガネ…水野クンが座っている。
3人で居酒屋に来ていた。
居心地のいい、お酒が入った状態であっという間に水野クンとも打ち解けた。
水野クンも透クンと同じくらいイケメンくんだったし、とても優しい男の子だ。
「俺…透がいつかふらっと居なくなっちまうんじゃないかと思うと怖くて…。」
透クンがトイレに立った時ふっと呟く水野クン。
「アイツの居場所…いや、ちゃんと帰れる、帰りたくなる場所作りたいんだ…。」
水野クンは嫌な想像を振り払うようにグッとお酒を呑み込んだ。
「…。」
「…それで…もし浅川さんが透の事少しでも思ってるんなら…アイツと…。」
水野クンが私を見つめる。
「…私じゃだめってもう透クンにはフラれてるわよ。悪いけど。」
「えっ…アイツどうして…?浅川さんこんなに綺麗な子なのに…。」
ハッとしたように水野クンは赤くなって黙ってしまう。
「…まあ透クンにはきっといい子がそのうち現れるわよ。…そうであってくれないと…やりきれない…。」
「…だよな…。」
二人して透クンの心配をしていることに気づく。
「透クンのことはともかく、水野クンって今彼女いるの?」
「…いや…いないけど。」
「居ないなら私と付き合ってみない?」
酔った勢いで提案してみる。
「…?!俺でいいの?」
「もちろん★」
あっさりその場で付き合うことになった。
その場で連絡先を交換する。
「おっ?連絡先交換してるの?」
ニコニコしながら透クンが戻ってきた。
「これも透クンのおかげねっ★ありがとっ★」
「…ああ。本当に…な。」
水野クン…真実が微笑む。
「そうっ?なら良かった!」
自分のことのように喜んでくれる透クン。
…透クンは本当に優しい。
本当に幸せになって欲しかった。
その日、呑みすぎてしまった真実を送って帰るという透クン。
二人と駅で別れて、その背中を見送った。
二人ともフラフラしながらも、とても楽しそうに帰っていった。
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