冒険者への扉
もう少しで日が昇るというくらいの時間に帝国の首都から5kmくらい離れた草原に着陸する。これくらい離れていれば飛んでるゼインのことを見た人は居ないだろう。
今夜はここでゼインと寝て明日帝都に入ることにする。寝転がるゼインに背中を預けて眠ろうとすると
背中が当たった瞬間ゼインは猫みたいに喉を鳴らしながら尻尾を揺らした。
こいつ可愛いなぁ。
相棒だけどてぇてぇ(尊い)なぁ。
可愛い相棒を見ながら夜風にあたり眠りについた。
朝起きて帝都に向かう準備をする。
天神流の超かっけぇ和服を着こなし鳴神を腰に吊るして準備完了。
「よし!ゼインちっちゃくなってくれ!」
そう言うとゼインは体を縮めていき可愛いホワイトミニドラゴンになった。
うん。やっぱいつ見ても超可愛い…
それを言うと怒って体当たりしてくるので静かに撫でるだけにしておく。
一時間ほど歩くと大きな城壁が見えてきた。
そこから検問所に向かい十分ほど列に並んでようやく順番が回ってきた。
「お!でけぇなあんちゃん!可愛いドラゴンも連れてるなんて珍しいな!あんちゃんも腕っ節で成り上がりに来たくちだろ?身分証は持ってるか?」
「いや、持ってないんだが…入れないか?」
「いいや大丈夫だ!ここで500マーレ払ってくれりゃ入れるよ。けど入ったらどこかのギルドで身分証は貰っておいた方がいいぞ?」
「ありがとう!早速冒険者ギルドに行くことにするよ!」
「そうしときな!帝都を楽しめよ!あ!…たしか今日は…ちょっとあんちゃん!いない?!はや!」
急いで500マーレ渡して小走りで門をくぐる。ちなみにマーレとはこっちの世界のお金の単位で円と大して変わらない。硬貨は1円玉、10円玉、100円玉と同じ価値で鉄貨、銅貨、銀貨となっている。そこからは紙幣で分けられており1000マーレ、5000マーレ、10000マーレとなっている。紙幣はないと思ってたんだが思ったより産業が発達してて紙が貴重という訳ではないらしい。
この世界のお金事情はどうでもいい!今は帝都だ!
そう意識を切り替え待ちわびたこちらの世界の都会に集中する。街並みはThe中世ヨーロッパであり活気に満ち溢れている。沢山の種族が街を行き交っており露店なんかも沢山出ている。
いいねいいね!こういうの求めてた!!
上がるテンションを必死に抑え冒険者ギルドを探しに行く。一瞬誰にも尋ねずに帝都を楽しみながら歩いて探してもいいかなと思ったがキリがないので肉の串焼きの露店を開いてるおっちゃんにきいてみることにした。
「いらっしゃい!!何本だいにいちゃん?」
「2本くれ!あと冒険者ギルドに行くまでの道を教えてくれないか?」
「毎度あり!2本で200マーレだ!冒険者ギルドはこの大通りをまっすぐ10分くらい歩いたら右手に見えて来る剣の看板つけた大きな建物だよ!」
「ありがとな!」
「だけど今日はやめときな。ってもう居ない?!はや!!」
肉屋のおっちゃんがなんか言ってたような気がするが呼び込みでもしてるんだろう。
肉をゼインと食べながら歩いていく。
うま!何の肉だろこれ?
予想以上に美味い肉の串焼きを楽しみながら10分ほど歩くと冒険者ギルドが見えてきた。
いかつい鎧を着た大男やいかにも魔術師らしいローブを着た女性などが出入りしていた。
出入りしている人達を見てると体運びや歩き方、魔力操作などがなかなか高いレベルの者ばっかだ。
こりゃ期待できそうだな…
まじでワクワクしてきた!!
はやる気持ちを必死に押え大きく息を吐く。何回か深呼吸をしたあと意を決して扉に手を添える。
師匠!俺はビックな男になってやりますよ!!
そう自分に気合を入れ勢いよく扉を開いた。
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