弟子入り

後半がバケモンみたいに長くなってしまいました。どうしても世界観を厚く広くしようとすると長くなってしまうみたいです。でもどうか読んでやってください。お願いします!



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翌朝、朝食を食べ終わりそろそろ出発しようとしていた。

ちなみに朝食はびっくりするほど美味しかった。

俺が行儀も忘れて一心不乱に食べていると、ルドラさんは

そんなに美味いか?そうかそうか…


と少し照れくさそうに笑いながら言っていた。


それよりもいつ弟子にしてくださいって言えばいいのだろうか…帝国まで送ってやると言われた時、流れでありがとうございます!なんて言ってしまったのがいけなかった。


なんて言い出そうか頭を悩ませていると外から、


「おーい!準備できたかー?」


大きい声でルドラさんが聞いてくる。

もう今言うしかない!と思い全速力で外に行き、勢いよく頭を下げる。


「ルドラさん!俺を弟子にしてください!」


ぽけーっとしているルドラさんに構わず頭を下げ続ける。


「いや、お前急に弟子にしろっつったって…まずうちの流派は条件があってだな…いや、こいつなら有り得るか?…」


そこまで言うと急に、


「リオ。ステータス見してみろ。」


と真剣な顔で言う。

困惑しながら、


「ス、ステータス?どうやって見るんですか?」


「そうかお前転生者だったな。ステータスって言えば出てくるぞ。」


言われた通りにしてみる。


「ステータス。」


すると、空中に液晶のような物が映し出される。


名前:リオ カミサカ

種族:鬼人

加護:雷神の加護 風神の加護

称号:

能力:異世界言語


すげぇ…本気で異世界だ…

ていうか普通に言葉伝わりすぎてて気にもしなかったけど異世界言語の能力があるから喋れるのね。

やるじゃん神。

なんてだいぶ失礼なことを考えていると、


「開けたか?開けたら加護の所を見てくれ。そこになんか書いてあるか?」


「はい。雷神の加護と風神の加護があります。」


「おい。まじか…」


そう言うとルドラさんはかなり驚いた顔をして、

「やっぱ転生者だからか…」なんてブツブツ言いながら少し考え込む。


心配になって顔をのぞき込むと、


「よし!やっぱお前、俺の弟子になれ!」


「ええ!急に?!さっきまで渋ってたじゃないですか!いや、めちゃめちゃ嬉しいんですけどね!」


急に弟子になれと言われて嬉しいながらもなんでなのか疑問に思う。


「実は、うちの流派は代々1人までしか弟子にとっちゃいけないんだ。しかも雷神の加護と風神の加護の二つ持ちのやつじゃないといけないっていうかなり鬼畜な条件付きなんだ。だからなかなか後継者が見つけられなくてな。しかもこんな所に籠ってからはお前以外の人と話してなんかないからな。」


「いや〜俺でこの流派は途切れるかと思ってたんだがな。」と笑いながら言うルドラさんはどこか安心したようなそんな顔だった。


「じゃ、じゃあ弟子にとってもらえるっていうことですよね?」


「おう!世界最強と名高い天神流てんじんりゅうへようこそ。全ての技を継いでもらうまで逃がさねぇからな?」


「はい!!ありがとうございます!」


「お!威勢がいいな!その姿勢がいつまで持つかな?うちは厳しいぞ?」


「望むところです!五年かけないで全部習得します!」


「そうか。そうか。」と笑いながら家に戻るルドラさん、いや師匠の背中について行く。

この広い背中に追いつこう。

この時俺はそう決心した。


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次の日から修行が始まった。修行は魔法学の座学系と体を動かす実戦系の2つを主に行い、合間の時間に歴史や今の情勢を学ぶ感じだ。

初日は、天神流の歴史と師匠についての話が主だった。

まず天神流とは、今から四千年前に転生者であるボクデン・アマテラスが極東の島国 大和大国やまとたいこくで作ったと言われている。

ちなみに、ボクデン・アマテラスさんは天神流を開いた時にアマテラスと改名したらしいがその前はツカハラという苗字だったらしい。

いやそれ、塚原卜伝つかはらぼくでんじゃん!

日本出身の剣豪中の剣豪じゃん!

とバキバキに日本出身の開祖様で話を聞いた時、かなり運命を感じた。

話が逸れたがこの一代目の時点で既に天神流の体系はかなり出来上がっていたらしい。ここから二代目、三代目と改良を重ね、新技を作り更に流派を完成に近づけていったと言われている。

天神流が日の目を浴びるようになったのは四代目の時であった。

今までの継承者と違い人の世に興味があった四代目は免許皆伝後、シセルギア帝国に行き冒険者として大層な活躍をしたらしい。

帝国に着いてから1年でSランク冒険者になるという破竹の勢いでランクを上げた四代目はこの時既に

帝国で最強の名を欲しいままにしていたという。

この四代目のおかげで帝国で天神流を知らぬ者はいなくなり弟子入りも後を絶たなかったらしい。

しかし、弟子入り志願してきた者の中には雷神の加護、風神の加護の両方を持つものが居なかったため四代目は帝国を離れ自分の出身地である大和大国に継承者を探しに帰った。

そこで出会ったのが俺の師匠ということだ。

四代目と師匠が出会ったのが今からおよそ二千年前だという。

え?時系列バグってね?と、この話を聞いている時思っただろう。俺も思った。

だが詳しく話を聞いてみると、まず歴代の天神流の使い手は師匠以外全員”超人”であり人間の一段階進化、人を超えた人であったため寿命は五百年から六百年ほどあったという。その寿命の最後の百年を使い弟子を”超人”まで育てあげるというループがあるらしい。

なるほど。それなら四代目まではわかる。

じゃあ師匠は?そう思うこと間違いなしだろう。

聞いて驚け!なんと師匠は超人の更に上である”神人”だったのだ!

神人は後にも先にも師匠だけであり、間違いなく人類史上最強の人間が師匠であると言っていた。

神格を有した生物は肉体や寿命の縛りから解き放たれ余程のことがない限り死なないらしい。

なので師匠はそこから二千年弱生き続けている。

凄い人だとは思っていたがまさか人類で1番強いなんて思いもしなかった。

そこからどうやって神人になったのか質問してみたがそれは答えてくれなかった。

どこか懐かしむような悲しい顔をして

「すまんな。今はまだ言えそうにない。」

と言っていた。師匠が今この辺境の空島に住んでいることにも関係があるらしい。

言えない過去は誰にでもある。と言うと苦笑しながら「これじゃどっちが師匠かわかんねぇな」と言っていた。


そこからは師匠が四代目に拾われてから免許皆伝までの話を軽くしてもらった。

大和大国で生まれた師匠は物心ついた頃から親は居なく姉と二人で生きていたという。食べるものもなく毎日飢えとの戦いだったが姉は自分が腹を空かせているにも関わらず僅かな食料を師匠へと分け与え大切に育ててくれたらしい。しかしそんな生活も長くは続かずある日師匠が食料を取りに行ってる間に姉は魔物に食い殺されてしまう。怒り狂った師匠はそこから魔物を殺しては喰らい殺しては喰らいを繰り返す生活を続ける。するといつしか師匠は鬼子と呼ばれ大和大国に討伐隊を組まれてしまう。しかしその噂を聞きつけた四代目は師匠に会いに行き雷神と風神の加護を持っているのを確認すると誰にも言わずそっと師匠を持ち帰ったという。

そこから四代目との修行の日々で少しずつ欠落した感情を取り戻した師匠は20年で免許皆伝をもらったらしい。


四代目はとてもいい人なんですね。と言うと苦笑しながら、まあな。修行では数え切れないくらい殺されかけたが。と言っていた。

ここまで時間も忘れて沢山話したが気がつくともう既に外は暗くなっていた。

「少し話しすぎたな。夕飯の準備するから手伝え。」

といい師匠が出ていった。明日から本格的に天神流を教えてもらう。早くこの人に追いつけるといいななんて思いつつ師匠を追いかけた。




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