第3話 可愛い後輩の性癖は厄介なものだった
――放課後
俺は
『告白されるのでは?』という年齢=彼女なしのおめでたい期待をいだき俺は屋上の扉を開いた。するとフェンスにもたれかかる玲葉ちゃんが俺が来たことに気づきこちらへと歩いてきた。俺は何故か深呼吸し万全の状態を作る。
「先輩、今日ここに来てもらったのは大事なお話があって呼んだんです」
「それは俺も大体なんとなくわかってた」
俺は顔の筋肉に力を入れ自分が一番カッコいいと思う表情を作る。
家の三面鏡を見て毎日練習しているので完璧だ。
「じゃぁ話早いですね。先輩――玲葉の奴隷になってください」
「……は?」
「だから、玲葉の奴隷になってください」
「いや、聞こえてるから。んっ? やっぱり俺の耳がおかしいのかな?」
「奴隷になるんですよ! 奴隷」
「ごめん意味分かんないし無理」
俺がそう言うと玲葉ちゃんは頬を膨らませ不満そうな顔をする。
「なんでですか、こんなに可愛い女の子の奴隷に先輩はなれちゃうんですよ?」
「可愛いって自分で言うんだ……可愛いけど」
「当たり前です。今までの男子なら皆、玲葉の奴隷になりたがりましたよっ!進路指導の河合先生も」
「いや、先生までなにしてんだよ……」
呆れた俺は玲葉ちゃんの頼みをきっぱり断ってから扉の方に歩き出す。
すると突然背中に強い刺激を感じバランスを崩した瞬間唇に温かい感触が伝わった。
「――先輩。玲葉のファーストキスを奪ったんだから責任取ってくださいね」
「えっ……」
初めて女の子とキスをした。それも一つ年下の可愛い美少女。
今まで女子と少し話しただけで喜んで気持ちが高ぶっていたような俺が一気にキスまでスキップしてしまった。
心拍数が上がるのを感じて表情に出さないよう意識する。
玲葉ちゃんの方を見ると彼女も顔を赤面させ俯いている様子。
「それで奴隷ってどんなことしたらいいの?」
◆
「ねぇ、快斗くん。なんでさっきから玲葉の言いなりになって動いてるの?」
「えっと、それは……」
俺が書道部の部長兼玲葉ちゃんの姉をしている灯李先輩に事情を話そうとすると横から鋭い玲葉ちゃんの視線が俺の口を
「すみません。言えないです」
「ふーん」
つまらなそうに反応をする
「先輩、もっと強く足揉んでください。あとこれが終わったら宿題教えてくださいねー」
「
俺を自由にこき使い椅子に座って気持ちよさそうに
「快斗くん。あなた、玲葉に弱みを握られているでしょ」
「そんな事ありませんよねー先輩。先輩は玲葉が可愛いから、奴隷になりたいと野犬のように足を舐め回して来たんですよ」
「そうなの、快斗くん」
「いや、違いますから!?」
二人の圧力に潰されそうになる俺はこの修羅場を
「えっと……灯李先輩、俺を奴隷にしてください。一日だけ」
「ちょっと先輩! こんなおっぱいコスプレお化けの奴隷なんかになったら生きて帰れませんよ!」
「なにそれ、むちゃくちゃ怖いんだけど……」
すると灯李先輩が俺の右腕に健康優良バディーな体を押し付けて上目遣いで見てくる。
「先輩、その目はなんですか……」
「そうね、快斗くんを誘惑して興奮させているの」
「先輩は発情期ですか?」
俺がわかりやすく拒絶しても灯李先輩はくっつくのを止めようとはしない。
玲葉ちゃんは嫌そうな顔をしながらも何故か止めには入らないし、この部活には変な性癖をもったド変態美少女しかいないのだ。
「快斗くんの服、いい匂いね」
「あぁ! 姉さんだけずるいです!」
そして玲葉ちゃんも俺の左腕にくっついてくる。
玲葉ちゃんは胸の膨らみはあまりないが絡みつくのが上手く、いい香りがして鼻孔をくすぐってくる。
「ちょっと二人共離れて!あっ……」
二人が腕を引っ張っているせいでバランスを崩し俺の体の上に先輩と玲葉ちゃんが乗っかった状態になる。とても如何わしい体制。
こんな所他の生徒に見られたりしたら……
ガラガラっガラ……
「快斗、お前両手に
「おい!
ガラガラガラっ……ガシャン!
絶対変な勘違いをされた気がする。
もしも寛人が他の誰かに話したりしたら俺はラノベ主人公扱いされて学校に居場所がなくなってしまうかもしれない……
「先輩、玲葉の胸触らないでください」
「ご、ごめん。気づかなかった!」
「先輩最低っ!」
玲葉ちゃんにビンタされた後俺は部室を出て寛人を追いかけた。
もしかしたら俺は学校で一番厄介な部活に入ってしまったのかもしれない……
―――――――――――――――――――――――――――
あとがき
『美人な先輩とその妹が変態すぎる件』三話を読んで頂きありがとうございます。
話が面白いと思って頂けましたらレビューやフォローお願いします。
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