第8話 魔灯騎士への想い
「
ベッドに潜り、数十分が経った。
「うん、うん」
眠い体を心で無理矢理目覚めさせながら、コードは話を上の空で聞く。
(流石に眠いよ...)
勉強に始まり、集中力を使う魔法の実践、合計30キロを全力疾走。終わったらティアより少ないとはいえ鍛錬用の重い剣を使い、素振り100回。もう心も体も休ませたい。
(眠...)
限界を迎え、瞳を閉じーー
「聞いてます〜?」
られなかった。
「わあっ!」
「びっくりした...」
危うく、キス、するとこだった。あぶない。
「聞いてました?」
俺の驚いた様子を気にも溜めず、ティアは質問を続ける。観念し、答える。
「ぼーっとしててあんまり...聞いてなかった」
答えを聞くと、ティアは「むっ」と不満そうな顔をして、
「じゃあもう一回説明しますね?」
と、また話し始める。多分こうなるとティアからは逃げられないだろう。
「
ティアは続ける。
「その中でも
「質問なんだけどさ」
目が覚めて、冴えてきた頭で考えたことを質問する。
「戦ってて、
ティアは言いにくそうにしながら、
「...
その話を聞いて、少し考え、聞く。
「...ティア、君は
ティアも少し考え、話す。
「...好ましくない現象です。
どうやら彼にもこの現象は好ましくないらしい。それならばーー
「それじゃあさ、作ろうよ!
ティアはキョトンとしている。
「でも、機能停止が起きない機体なんて、作れた人は誰もーー」
「今まで誰も作れなかったから作れない、じゃない。い。今まで誰も作れなかったから作るんだ!」
少し暗くなっていたティアの目に、だんだんキラキラ「」の光が灯っていく。
「そう...ですね。そうです!ないなら作りましょう!2人で!」
熱くなってきた!
「それに俺は、俺にしか使えない俺のための
「私も作りたいです!」
「じゃあどんなのにするか考えよう!まずはーー」
夜はまだ、始まったばかりーー
「ーー!ーー!」
遠くから、声が聞こえてくる。
(また、夢かな)
また夢を通して、自分の知らない
『おい、ーー!起きろよ、ーー!』
『あ、あああ...』
そこで見たのは、
(ーー!!)
俺をこの世界へ送り出した人、おじさんの多分、大切な人。それと、その人を殺して狼狽える、
『死ぬなよ!死なないでくれ...!やっと会えたのに...!』
おじさんが大切な人を抱き支え、
『違、違うん、です。そ、その人はーー』
『黙ってろ!!!』
何か言おうとするが、おじさんに遮られる。
その後もおじさんは、その人に対して手の限りを尽くしたが実らず、命が、消えた。
その様子を見て立ち尽くす
『どこかへ...今はどこかへ行ってくれ。そうしないと俺はーー』
震えながら振り向いたおじさんの目にはーー
『お前を、殺しちまう...!』
怒りと憎悪が、灯っていた。
ーーはっ、と目が覚める。
朝日が俺を照らす。
昨日の様に、寝相が悪すぎて俺の上に乗ってくるティアをどかしながら、つぶやく。
「俺はーー」
「彼の、何なんだろう」
タオルで汗を拭き、着替える。不意に机に目をやると、
『《ティア》1:火力!2:頑丈!3:空を飛ぶ!』
『《コード》1:速さ2:守る力3:飛行』
と、書いてある紙が置いてあった。昨日2人で考えた、自分専用機に付けたいものリストだ。
(...?守る力?曖昧だなあ昨日の俺)
昨夜はテンションが上がりすぎた様で、少し記憶が飛んでしまっている。何をもって守る力とするのかが分からないが、まあそのうち思い出すだろう。
「ティアー?起きろ〜」
着替えを終え、ティアを起こす。また、鍛錬の1日が始まる。
「では、行ってくるよ」
「はい!行ってらっしゃいませ、お父様!」
ーー数日が経ち、今日はエンキさん達が同盟国へ旅立つ日だ。
「コード君も、息子を頼むよ」
「お願いしますね」
エンキさん、スピラ夫人から、ティアを託される。
「はい、お二方もお元気で!」
2人が馬車に乗り込み、進み始める。その2人が見えなくなるまで、ティアと手を振って送り出した。
「では、迎えが来るまで待ちましょうか!」
なんて、ティアと話しながら少し待つと、迎えの馬車がくる。
馬が鳴きながら止まり、中から召使いの様な人が出てきて言う。
「ティア様、コードさんですね?我が主人サンディ・アルカトラから迎えに行くように命じられました。さあ、お乗りください。」
「「ありがとうございます!」」
2人で使いの人に礼を言い、乗り込む。
「凄いな、馬車なんて初めて乗ったよ...」
初めて乗る乗り物につい気分が上がってしまう。
「結構揺れますから、慣れてくださいね?」
と、ティアが言うと、馬車が進み始める。なるほど、これは......かなり揺れる。慣れるまで大変そうだ。
馬車に揺られながら、この国の魔法の権威であるティアのお爺さま、サンディ・アルカトラさんに会いに行く。
「あ、ちゃんと
王立エルグ騎士学校の入学試験までーー
後、3年と32日。
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