第7話 いわゆる、「特異体質」
「本当、ごめんな、心配させて」
休憩に入ってすぐ、
「なんで結晶を外そうと思ったんですか?」
彼はばつが悪そうな顔で言った。
「魔法が上手く行かなくて、何でだろうって疲れた頭で考えたんだ。俺のせい?...そうは思いたくなかった。じゃあ結晶?でも結晶はティアの使った物とほとんど同じだ。じゃあ杖だろって思って、結晶を杖から外して、魔法を撃とうとしたんだ」
とても利口とは言えない方法だ。
「とにかく、結晶を杖から外して、
と、念を押す。すると、
「うん、分かったよ。そうする」
と少し萎んでコードは言った。
そう言えばーー
「怪我とかしなかったんですか?指」
気になった。
「しなかったよ?」「...え?」
コードは続ける。
「むしろ少し心地よかった程度だし」
「そう...ですか〜」
腑抜けた笑いが出てしまう。空から落ちてきた
「次は何をやるんだ?」
休憩を終えて、歩き出した
「体力作りです」
と言うと、軽く体を動かしながら話す。
「10kmを3回走って、その後に剣を使って素振りをします。」
10km、まあまあ長かった気がするな...、なんて考えていると、
「素振りは100回ですよ。10km3回で負け越した方が素振り150回に増えます!」
と言って早速走り始めてしまった。
「うそだろ...」
急いで走り始める。「待てェ!」なんて言いながら。
一回目は負けて、二回目で勝った。この三回目が勝負!
「はっ...!はっ...!」
残り1キロ、ティアを追う。森の中で、足場が悪い。
残り500、少し離された。ここから逆転するにはどうする...?
(森...!地の利を、活かす!)
至る所に生える木を蹴り、加速し、速度を伸ばす。
「?...!?そんな!」
ティアの驚く顔が見える。どうだ、驚いただろ。
残り100、ティアの隣に追いつき、ゴールとして立ててある木の棒が見える。
「「うおぉぉぉぉ!!」」
5m、3m、1mと近づきーー
ガッ、という音と共に、木の棒が地面から離れる。
「よっし!!」
「負けたーーー!」「あはは...」
(ティア、負けず嫌いなんだな)
なんて事を考えながら、先に素振りを引き上げる。
(魔法の件、どうするかな...)
目下の課題は魔法のことだ。杖があると威力が弱まる。結晶をそのまま使うと危険だという話。
(でもティアが言うような危険性は感じられなかった...)
「ねえティア?」
剣を振りながら、ティアは答える。
「ん?なんですか?」
「結晶をそのまま、
剣を一度置き、ティアは話を始める。
「まず
そうなのか、と危険性を理解する。だがーー
「それでも俺は無事だよ?」「そうなんですよね...」
少し考える。杖が使い物にならず、手から魔法を放つしかないのなら、常に手に結晶を持つのはいくらなんでも、だ。
「うーん......!」
思いついた。
「ティア!いい考えが出来た!」「?」
早速、ティアに伝える。
「...たしかに。コードの、杖を使って魔法を撃てない、という弱点を補うのにその方法は適しています...!」
「だろ!...でも
また考えが止まってしまう。
「できますよ?」
「本当?」
驚いてすぐに聞き返す。
「2日後にお父様とお母様が同盟国へ向かわれるのですけど、その際に父方のお爺さまへ預けられるんです。多分、コードと一緒に。」
確かに言っていた。妻と同盟国に行くって!
「なあ、お爺さまってどんな方なんだ?」
ティアが自信を持ってできる、と言うぐらい魔法のことを知る人物。いずれ会うとは言え気になって聞いてみる。
「フラマヴィル王国内にいる魔法研究者、その権威です。...よし、素振り終わり!」
「ええー...」
一体ティアの家族はどうなっているんだろうか。いつのまにか再開していた素振りを終え、お爺さまに会うことを楽しみにしながら、俺たちは家に帰った。
家に帰り、風呂に入りご飯を食べ、ベッドに入るーー
その前に、
「さあ、語りましょう!!」
王立エルグ騎士学校の入学試験までーー
後、3年と34日。
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