第5話

「なんで、お前がここに・・・」


突然現れた女騎士に、俺は驚く。



「貴様に言う必要は無い。


 それよりもだ・・・」



ジャキンッ!!


彼女は、剣を俺に突きつける。



「昨日のお返しをさせてもうおうか」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(ヤバイ・・・


 助かったとも思ったら、もっと酷いことに・・・)



「この前は随分とやってくれたな」ニヤリ


復讐ができそうな彼女は、満足げな顔をする。



(どうする・・・?


 斬られるぐらいなら、ワンチャン崖から飛び降りるか?


 でも・・・)



さっきの女騎士の戦闘を俺はチラッと見えた。


俊敏な動きをしており、彼女から逃げられそうにない。


おそらく、俺は崖まで逃げ切ることはできないだろう。




「ふっ、ではな」


「えっ!!」


女騎士は剣を俺に振りかざした。



「ぎゃああああああああああああ」


俺は悲鳴を上げる。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


(・・・あれっ!?)


俺は斬られたはずなのに、痛みがやってこない。


(即死したのか・・・?)



恐怖で閉じていた目を開けると



ギュルルー


「くっ・・・」



女騎士は空腹で倒れていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ああ、うめえ」ボリボリ


俺は女騎士の前で、木の実を食べていた。


この辺を軽く散策したら、見つけることが出来た。


(圧倒的幸運に感謝・・・!!)



「どうだ、お前も食べたいんじゃないか?」


「くっ・・・ゴブリンのものなど・・・」


「ほれほれ」


俺は女騎士の前で、木の実を見せびらかす。



「くそ・・・」


女騎士は悔しそうな顔をする。



「俺を襲わないことを約束するなら、やるよ」


「絶対にするもんか・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


グギュー・・・


「くっ・・・」


あれから時間が経った。


一向に女騎士は、俺の提案を承諾しない。



「もういい加減、認めたら?」


「黙れ・・・」グギュールル



(はぁ・・・仕方ないか)


このままでは餓死するのではないか。


そう思った俺は、彼女に木の実を食べさせようとした。


そうするため、彼女の頭を掴んだら



「はぅっ!!///」


彼女はビクンと跳ねた。



(そうだった・・・)


俺は思い出す。


肌を触ってしまうと、彼女が感じてしまうことを。



「貴様ぁ・・・」


ものすごい剣幕で彼女は俺を睨みつける。



「悪かったって。


 でも、さっさとお前が要求を飲まないから、こうなったわけで」


「黙れ、切ってやる・・・」



(・・・)


なんか、イライラしてきた。



(わざわざここまで木の実をもってきたんだぞ。


 殺されかけたのにだ。


 確かに、俺もイジワルしちゃったけどさ・・・)



「もう一度、聞く。


 俺の襲わないって約束してくれる?」


「断る!!」


女騎士は断言する。



「あぁ、そうですか・・・」


「な、なにを・・・!?」


不気味な雰囲気で近づいてくる俺に、女騎士は動揺する。



「おしおきだよ」


俺は手を彼女の前であげた。


ーーーーーーーーーーーーーー


「こひゅっ・・・///」


女騎士は体を痙攣させている。



俺は彼女のほっぺをプニプニした。


たったそれだけだが、彼女には大ダメージだった。



「もう、襲わない?」


「ふざけ・・・あひゃっ///」


認めない彼女に、俺は彼女にさわる。



ーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ・・・」


「・・・ぁぁ///」


やっと彼女は、俺の要求を飲んだ。


クールビューティーだった彼女の顔は、台無しになっていた。



「じゃあ、俺はもう帰るから」


その場を俺は離れようとした。



しかし



「・・・ぅぅ」


動けなくなった彼女を、その場で見捨てることはできなかった。


俺はその場にとどまり続ける。

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