第2話

「よし、今日もあるな・・・」


 


ゴブリンは木に近づく。


 


「あっ!!」


 


あっという間に木を登り、ゴブリンは実を取った。


 


「ほら、お前もやれ」と言わんばかりに、ゴブリンは手をクイクイする。


 


できるかどうか不安だった俺は、とりあえず木に手をつけてみた。


 


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


「ハァハァ・・・」


 


何度もよじのぼろうとするが、登ることはできなかった。


 


 


「マジかよ・・・」


 


木に登っていた、ゴブリンは溜息をつく。


 


 


「じゃあ、俺が取った身を下に落とす。


 


 それをキャッチしてくれ」


 


彼は代替案を出してくれた。


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


「・・・」


 


地面には砕けた実が散乱していた。


 


ゴブリンが落としてくれた実を、俺は全てキャッチし損ねる。


 


(やっちまった感がやべえ・・・)


 


 


ゴブリンは無言で俺を見る。


 


彼は何も言ってないが、怒っているということはよくわかる。


 


 


(うん、逆の立場なら、俺も怒るわ)


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


翌日


 


俺はここから、追放されることになった。


 


「あたまをぶつける前は、ここまで酷くなかった」


 


ゴブリンはそういい、俺との協力関係解消を申し出た。


 


 


俺も彼に迷惑をかけることを悪く思い、すんなり受け入れる。


 


ーーーーーーーーーーーーーーーー


 


「どうしよう・・・?」


 


今を生きることで精一杯だった俺は、追い出された後のことを考えていなかった。


 


 


(とりあえず、この辺を散策するか・・・)


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


「ん~・・・」


 


森の奥に進むことは怖かった。


 


そのため、すぐに身を隠すことができるギリギリ森じゃない部分を、歩きまわった。


 


(本当に何もないな・・・)


 


だいぶ歩いたが、一向に景色は変わる様子はない。


 


ずっと、森が続いているだけだ。


 


 


グー


 


俺のお腹が鳴る。


 


 


ずっと歩いていたためだろう。それになんだか喉も乾いてきた。


 


 


(マズイ・・・このままだと・・・)


 


本格的に生命活動がやばくなってきたことを、俺は実感する。


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


「・・・っ!?」


 


死を予感しながら、俺はひたすら歩いていた。


 


しかし、ついに求めていた音が聞こえてくる。


 


 


サラサラ・・・


 


「・・・やっぱり、これは・・・!!」


 


 


残り少ない体力を使って、俺は走り出す。


 


 


(やっぱり・・・!!)


 


目の前には、綺麗な川が流れていた。


 


流れが遅く、水質が良く底まで見える。


 


 


幸運であることを噛みしめ、俺は頭を川に突っ込む。


 


 


ガブガブ


 


大量の水を口に流し込む。


 


 


(うめぇ)ブハッ


 


これほど水を美味しく感じたのは、小学生以来だ、


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


「ふぅ・・・」


 


食欲は残っているものの、喉は潤った。


 


「よし、木の実でも探すか!!」


 


手を挙げてストレッチした俺は、気合を入れる。


 


しかし・・・


 


 


 


「まさか、こんなところにいるとはな」


 


「っ!?」


 


俺の後ろから、声がした。


 


振り向いてみると


 


 


ジャキンッ!!


 


俺の喉元に剣を向けられる。


 


 


「なんと醜い顔だ・・・」


 


 


俺の目の前には、鎧を着た女がいた。

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