第24話見た目は子供中身は大人、その名も魔法使いミト!

「泊まる所が無い」


「……結局金やん」


俺は呆れた様に言う。


「金では無い。泊まる所が無いんじゃ」


言い方変えれば良いってことじゃないわ!

俺は内心そんな事を思いながら、まぁネルを救ってくれたし、俺も助けて貰ったので、「まぁその位なら良いけどな」と言って了承した。


ーー「お主はなぜこの少女と居るのだ?夫婦なのか?ヤッタのか?ヤッちまったのか?もしかして自分と子供を無理やり作らせて自分から離れられない様にしているのか?」


「そんな外道じゃないわ!!人をなんだと思ってやがる!それに夫婦じゃねぇよ。仲間だ」


俺は結構な事を真面目な顔をしながら聞いてくるミトにツッコミながら、森の中を町に向かって歩いていく。

あの後俺達は馬車の荷台にあった金目の物を持てるだけ持って、俺はネルを背負って、ミトは……金だけを持って町に向けて歩いていた。

本当に呆れるやつだ。

ミトは魔法で金を浮かせながら歩いている。

しかもいつの間にかミトの周りに浮いていた宝玉も消えている。

楽しやがって…。と思うが、助けて貰った恩があるので何も言えない。


「ミトは冒険者なのか?」


「なんじゃそれは?食えるのか?」


ミトがお約束の返しをしてくる。


「食えねーよ。冒険者ってのはな、ん〜そうだな、なんでも屋みたいなもんだ」


「なんでも屋か…なるほどのぅ」


ミトが納得した様に呟く。


「なあ、なんで金が無いんだ?泊まるにしても野宿じゃだめなのか?なんであんなところに居たんだ?」


俺は抱いていた疑問を一気にぶつける。


「金は落とした。野宿はか弱いレディーには向かん。所在に関しては私は旅人だからじゃ」


ミトは俺の疑問の全てを、スラスラとスムーズに答えた。

ミトって結構記憶力良いんだな。

俺はそんな事を思いながら応える。


「おぉ、そうか。つーかか弱いレディーって(笑)どこをどう見たらそんな物に…ーーああ!ごめんなさいごめんなさい!」


また宝玉を使ってやばい詠唱をしようとするミトを止めながら、他のミトの回答に関心を向ける。

金は落としたとか言ってたな。

あと私は旅人だからとかも言ってた様な…。

と言うか落し物とか魔法でどうにか出来ないのかね、と思うが、どうにかしていない所を見ると、どうにも出来ないのだろう。


俺がそんな事を考えていると、町に到着したようである。

町の前にある草原には、最初に町に来た時と同じく、優しく肌を撫でる様な風が吹いていた。

ミトはそのそよ風を腕を開き全身で感じながら、「いい風じゃの〜」と言っていた。

本当に年寄りの様だ。


「行くぞ」


そう言って2人で歩き出す。

途中行商人と思われる人達と何度かすれ違ったが、ミトは全然動揺していないのを見ると、「ネルとは違うんだな」とつくづく思った。


ー俺達は町の正門をくぐると、俺の泊まっている宿屋に向かっていた。


「どこへ向かっているのじゃ?」


「俺達の泊まってる宿屋だよ」


「ほう、そうか」

納得した様に言ってミトがてくてくとした足取りで俺に着いてくる。

その様子を見て俺は、「黙ってれば可愛いのにな…」と思った。


「なぁミト、俺達と同じ部屋でいいよな?」


俺は宿屋に向かって歩きながらミトに聞く。


「嫌に決まっておるじゃろうが。お主やはり変態なのか?もしかして3Pか?3Pでもしようというのか?!」


ミトがそんなド下ネタを連発してくる。


「ちゃうわ!!!!金がねぇんだよ。つーかお前冒険者って言う単語は知らなかったのになんでそんな大人の言葉知ってんだよ…」


俺は呆れながら言う。

ミトは見た見によらず中身は大人の様だ。


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