第7話いざ、初めての町へ
「……」
俺はネルの寝顔を、ニヤニヤしながら見ていた。
もう朝だ。
あれからネルは疲れていたのか、直ぐに寝てしまった。
俺は寝ている間に魔物が襲ってくるかもしれないので、ずっと見張りをしていたのだが、すっげー眠い。が、もう朝になってしまったので、寝たくても寝れない状況である。
「ネル朝だぞ」
俺はネルの肩を揺すりながら言う。
「んんもうちょっと…」
もう仕方がない奴だな。
俺はため息を着きながらネルを眺める。
「…」
あの猫耳…触りたい…。
会った時から気になっていたのだが、ネルの耳は、感情の変化によってヒョコヒョコ動くのである。
それがたまらなく可愛い。
俺はそーっとネルの耳に手を伸ばす。
「……………………………………………」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!ダメだ!!
なんか変態行為をしようとしてるみたいだ!
ギリギリのところで踏み止まり、もうこれ以上可愛すぎるネルの寝顔を見てられないので、ネルを起こそうとする。
「ネル。そろそろ起きないと襲っちゃうぞ」
5割いや、9割本気の発言をする。
「んん…タクヤにならいいよぉ………」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
やめろ!やめてくれーー!もう自制心の限界だぁーーーーーーーーーーーーー!!!!
俺は地面に転がりながら叫ぶ。
「んん…タクヤうるさい………」
と、俺が地面でローリングしている音で起きたようだ。
「あ、あぁすまん起きたか?」
「スースー」
「寝てんじゃねーよ!」
どうやら寝ぼけていた様だ。
ーー数分後
ネルは自力で起き、近くの小川で顔を洗っていた。
「……タクヤは、ずっと起きてたの?」
顔を洗って戻ってきたネルが聞いてきた。
「ん?あぁうん」
「……明日からは、一緒に寝よ」
なん、だと…!
一緒に寝てーーー!
と、心が叫んでいる。
だが、誰かが見張りをやらないといつ魔物が襲ってくるか分からない。
そこを考えると、ネルと一緒に寝るのは無理な事だ。
俺はどうにかしてネルと一緒に寝る方法を考えるが、思いつかない。
「ネル一緒に寝たいのは山々なんだけどな、寝てる間に魔物が襲ってくるかもしれないから誰かが起きてないといけないんだよ」
「じゃあ宿に泊まろうよ」
「宿?近くに宿があるのか?」
「うん。ボーンの町まで行けばあるよ」
町!町があるのか!
そうだよな人間がいるんだから宿もあるよな!
「よし!じゃあ最初の目的地はボーンの町だ!」
「うん!」
「でもネルの耳は隠してかないとな。また襲われるかも知れないし」
「うん。でも隠す物持ってない」
「あーそれなら安心しろ。多分作れる」
「作る?」
ネルは俺の意味不明な発言に首を傾げている。
俺は、「フードを!」と心で強く願う。
すると俺の右手が光ったあと、胸元にゲス不倫と書かれたねずみ色のフードが現れた。
こんなフード触ったっけ…と思いながら、フードを広げてみる。
ネルはいきなり現れたフードに驚いている。
「すごい!どうやったの?!」
「ん?あぁ、この指輪だよ。この指輪は俺が過去に触った事がある物を再現出来るんだ」
「なんでそんなレアアイテムを…それイマジネーションリングでしょ?」
「イマジネーションリング?なんだそれ?」
「等級一のレアアイテムだよ!」
「え、そうなのか?それって凄いのか?」
「国が買えるよ!」
「えっ、ええええ!そんなに?!」
俺は一瞬間抜けな声を出してから叫ぶ。
「うん!」
マジかよこの指輪、そんなに凄い物だったのかよ…。
「それどこで拾ったの?」
「わからん。気づいたらハマってた」
「えぇーーー何それ」
そう言えばコイツなんで俺の手にハマってんだろ。
起きたらハマってたよな…。
と、俺が手を顎に当てて考えていた時、ふとネルが笑いだした。
「あははは…ふふふっ。もう、本当にタクヤは不思議だね!」
そう満面の笑みで言った。
不思議?俺が?不思議なのかな…。
む〜。
この世界の常識を学ばないといけないな…。
そう実感して、ネルに向き直る。
「まぁいい。とにかく服着ろよ」
「うん」
(ゴソゴソ ブチッ ギギ ギューギュー)
俺はズボンのようにフードを履こうとしているネルをニッコリと微笑みながら見ていた。
ん〜可愛い。
「ネル上に着るんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、ネルの顔が一気に赤くなった。
ーー数分後
上手くフードを着れたネルを、俺はまじまじと見ていた。
やばい。
似合いすぎだろ。
フードを着たネルは、まるで天使だった。
「タクヤ、似合う?」
「めっちゃ」
「うふふ良かった。」
きゃわいい!!!
きゃわいい!!!
(大事な事だから2回言いました)
おっと、見とれているばかりじゃいけないな。
「よし!じゃあボーンの町へ出発だ!」
「うん!」
いざ、初めての町へ
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