第5話 ヒロイン登場(2人目)

 某日 相沢の通う学校にて




「なぁ、おい、知ってるか?今日新しい転校生がやってくるらしいぜ。」


 クラスは今日来るといわれている転校生の話で持ち切りだ。

 転校生が来るのがそんなにうれしいことなのか?


「なんでも、外国人でとても綺麗らしいぜ。」


 外国人がそんなに珍しいか?

 俺は良く親の都合で外国へ行ってばかりだったからな。

 そこまで珍しくはない。

 何人かの現地の子とも友達だったし。

 まぁ、あっちの子たちは俺のことなんて覚えちゃいないだろうな。

 でも最も印象に残ったのはロシアのソフィアだ。

 もちろん名前の通り女子である。

 確かスペルはこうだと教わった  София

 もう1度会えるかな?

 彼女が今まであった中で1番まともだったな。

 ん?あれれ?今のフラグっぽかったぞ。

 まぁ、大丈夫だろ。






 相沢がフラグを立てたのと同時刻……


「Я наконец нашел Айзаву《やっと見つけましたよ、相沢君》」


 その頃廊下でソフィアは不気味に笑っていた。





 HRホームルーム活動にて



 皆転校生が誰なのか気になってそわそわしている。

 先生の話を耳に入っていないようだ。

 かくいう俺も先生の話を聞いていない。

 仕方がないのだ、先生の話長いんだもの。


「それでは、転校生を紹介したいと思います。入ってきてください」


 ガラガラと音を立てながら教室の扉があき始める。

 思わず俺も視線が釘付けになった。

 いや、奪われたと言うのが正しいだろう。

 真っ白な銀髪ロングに、女優顔負けのスタイル、整った顔立ち、そして何よりミステリアスさを感じさせる翡翠石にも負けない綺麗な翡翠色の目が特徴的な美しい女性だったのだ……って、ソフィアじゃないか。

 驚いた、ずいぶんと変わっていたから少しわからなかった。

 きれいになりすぎだろ。

 しかし驚いた。

 確かにソフィアと会いたいといったがいくらなんでも早すぎる。

 これが運命のイタズラというものだろうか。

 おっ、ソフィアがこっちを向いて微笑んだ。

 一瞬目があった気がしたが気のせいだろう。

 なんか少し目が黒くなったのも気のせいだろう。

 あんな美人が俺を覚えているわけないだろ。

 思い上がりもいいところだ。

 俺の周りの男子は、自分に笑いかけてくれたと勘違いをして騒がしくなった。


「では、自己紹介をしてください。」


「はいはい、俺の名前は「あなたではなくこのソフィアさんに聞いているのです。少し黙りなさい。あなたのあ自己紹介なんて誰得ですか?」


 男子が威勢よく自分の名前を言おうとしたが、先生に怒られた。

 なぜかこの先生俺にはめちゃくちゃ甘くて、俺以外にはとてもきついんだよな。

 そんことを思案している間にソフィアが黒板に自分の名前を書いていた。 ロシア語で……

 なんでだよ!?

 お前日本語完璧だろ⁉

 そして、自己紹介を口頭でした。もちろんロシア語で……

 なんでだよ!?

 お前日本語ペラペラだろ!?


「Меня зовут София. Я приехала в Японию по переводу родителей. Кстати, моя любимая вещь - Такаши Аидзава.

《私の名前はソフィアです。私は両親の転勤のため日本に来ました。ちなみに、私が好きなのは相澤隆です。》」


 多分だが意味を理解したのは俺だけだろう。

 正直面と向かって言われると恥ずかしい。


「いやー、まだ先生もロシア語わかってないんだよね。ごめんなさいね」


 なに!?先生も理解してないの……

 仕方がない。

 目立つのは嫌だが、クラスのためにもここはひとつ活動してみますか。


「Вы можете говорить по-японски, так что говорите правильно. Твои одноклассники в беде. И я не говорю, что этого никто не знает. Было бы неловко, если бы кто-нибудь мог понять.

《お前日本語話せるんだからちゃんと話してやれよ。クラスメイトが困ってるだろ。あとそういうことを誰もわからないからって言うんじゃないよ。もし誰かわかる人がいたら恥ずかしいだろ。》」


 俺はロシア語で注意した。

 先生もクラスメイトも驚き固まっている。

 そして俺は伝えるべき言葉を言う。


「Давно, София. Рад встрече с вами.

《久しぶりだなソフィア。会えてうれしいよ。》」


「да. давно не виделись. Я рад встретиться с вами тоже. Даже в этом случае кажется, что он изменился еще до того, как я это увижу.

《うん。久しぶりだね。私も会えて嬉しいよ。それにしても随分と見ないうちに変わったようだね。》」


 ソフィアもそれに応じてロシア語で返してくる。

 それにしてもよく一目で俺と分かったものだ。

 聞いてみるとしよう。


「Я часто знал, что это я с первого взгляда. Это выглядит совсем иначе, чем было раньше.

《よく一目で俺だとわかったな。ずいぶん昔とは見た目が違うというのに。》」


「Конечно. Я так сильно тебя люблю.

《そりゃもちろん。なんてたって私は君が大好きなんだもん。》」


 ここで俺は置いてきぼりになっているクラスメイトを思ってソフィアに日本語で話すよう説得した。


「Пора говорить по-японски. Мне жаль этих парней.

《そろそろ日本語で話してやれよ。こいつらがかわいそうだろ。》」


 俺は後ろの奴らを指しながら言った。

 彼女は渋々といった様子でうなずいた。


「понял. Однако есть условия. Будь любовником.

《わかりました。ただし条件があります。私と付き合ってください。》」


 俺はその条件に少し驚いたが、その条件を飲むことにした。


「все в порядке. Так что говори по-японски.

《わかった。だから日本語で話してくれ。》」


「Вот почему я со мной ... Что ты сейчас сказал?

《ですからですね私と付き……って今なんて言いました?》」


 こいつもしかして難聴か?

 もう一度言ってやるか?


「Вот почему я говорю тебе пойти со мной на свидание.

《だから付き合ってやるって言ってんだよ。》」


「Эх, это нормально? Большое тебе спасибо.

《えっ、いいんですか?ありがとうございます。》」


 満面の笑みでお礼を言ってきた。

 さぁ、これでこいつも日本語で話してくれるはずだ。


「皆さんこんちは。私の名前はソフィアです。ロシアから来ました。ちなみに言うとここにいる相沢隆君の彼女ですから、男性の皆さん私に話しかけないでください。そして女子もとい、ゴミムシの皆さん私の彼に金輪際近づかないでください。」


 こいつとんでもないこと言い始めたぞ。

 ほら見ろ、そんなこと言うからクラスの奴ら全員が驚き固まっているじゃないか?

 責任とれよな!




 そんなこんなで僕と彼女のおかしな学校生活が始まった。









 ちなみに前に告白してきた奴は、嬉しいのか、悔しいのか、悲しいのか、はたまたそれ以外かなんともわかりずらい顔をしながら、快楽に打ち震えていた。





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 今日は2話投稿しました。

 ロシア語って振り仮名振れないんですね。驚きました。

 ロシア語あやふやなので、間違ってたら言ってください。

 長くてすいません。

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