第3話 眠ったままの2人

 二人は意識を失い、頭から血を流している。その血がどんどんと道路を赤く染めている。


 事故にあったこずえとこずえは、別々の救急車で直ぐに病院へ運ばれた。


 しかし神のイタズラか、同じ病院で同じ病室、それも隣同士だった。


 すぐに、こずえには、両親が。梢には、『大阪 龍斬院りゅうざんいん』の仲間たちが、駆けつけた。


 「こずえ! しっかりしい!!」


 「目を覚ますんや。こずえ!」


 こずえの両親が、頭にぐるぐると包帯がまかれた意識のないこずえの横に立ち、必死に呼びかけている。


 カーテン越しにあるベッドの横には、『大阪 龍斬院』のメンバーが立ち、涙を流しながら梢を心配そうに見下ろしていた。


 「梢! 戻って来い! アンタは、事故で死ぬような、弱い女やないやろ!」と、メンバーのスズが、意識のない梢に必死に呼びかけている。


         ◇


 

 そんな頃、意識を失っていたこずえは、深海のような暗い所にいた。


 (誰が私の名前を呼んでるん? なんか人がいっぱい泣いてるな。確認したいけど、目開かんし、体がめちゃめちゃ痛いわ。)


 まだ、その暗い所から出られそうになかった。



         ◇



 意識を失っている梢は、真夜中のトンネルのような暗い所を徘徊していた。


 (誰やウチの名前を読んでるんわ? 母ちゃんか? でも男の声もするな。ダイキもおるんかな? でも目開かんし、体もアホみたいに痛いし、確認できいんわ。)


 二人はまだ、その暗い所をさまよい続けなければいけなかった。




          ◇



 二人は、まだ、目を覚ます気配を見せない。そして、とうとう、面会時間が終了してしまった。


 こずえの両親も、『大阪 龍斬院』のメンバーも、病室を後にして、家へ帰って行った。


 


 


 

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